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教員採用試験で役立つ教育心理学①  ~ピグマリオン効果について~

子どもの良いところを見つけて、たくさんほめなさい。


教育関係の仕事に就いた人なら一度は言われたことはありませんか?

私はあります。最初はバイト先の室長から、今でも管理職の先生から耳にタコができるほど言われています。

正直、最初はこの言葉に対してあまり肯定的にとらえることができませんでした。

なぜかって?

だって、詭弁に思えたのですもの。

ただ褒めるだけで本当に能力があがるものか、と。

学習において大切なのは、教育者による誉め言葉ではなく、学習者の継続的な努力であると考えていたからです。

そのため、指導者は児童・生徒が理解できるように教材研究や授業研究に注視し、褒めることなど二の次でよいと思っていました。

しかしながら、これは指導を続けていくうちに間違っていることに気が付きました。

確かに、学習者の継続的な努力は必要です。

しかしながら、継続的な努力をするためのモチベーションを持てるようにすることも、同じくらい重要であると気が付いたからです。

継続的に努力し、学習に取り組める児童生徒を育む。

 これを達成する土台作りとして、児童・生徒のモチベーションを向上させるために褒め、認めることが大切であると考えるようになりました。

では、この課題を達成するためにはどうしたらよいのか。

教育心理学の基礎の基礎であるピグマリオン効果をもとに考えていきます。
     

ピグマリオン効果とは

ピグマリオン効果とは、教師や親が良くも悪くも何らかの期待と予想をもって子どもに接すると、子どもがその期待や予想通りに行動することを意味します。別名「教師期待効果」とも言います。

 例えば、教師がこの子は賢いからもっと頑張ってほしいなぁ~と思って接すると、その子どもは学習に対して意欲を持つようになり、クラスをまとめられるリーダーになってほしいなぁ~と思って接していると、その児童が次第にリーダー性を発揮するようになるといった感じですね!

 また、反対に教師がこの子どもは暴力的な子だから、将来碌な大人にならないと考え、結果として虞犯少年や非行少年になってしまうなどのケースも当てはまります。(このようなケースはゴーレム効果とも呼ばれています)


学校では、ピグマリオン効果に基づき、たくさん褒めて、児童・生徒たちに期待しているんだぞーってことを伝えることで、望ましい成長を促そうとしているのですね!

どうしてピグマリオン効果って言うの?


ピグマリオン効果はピグマリオン王に関するギリシャ神話に由来しています。

世の中の女性に失望していたピグマリオン王は、自分の考える理想的な女性像「ガラテア」を製作します。

ガラテアと接するうちに、ピグマリオン王はガラテアに恋をします。

そして、その恋を成就させるためにガラテアが実際に生きた女性になるように祈っていたのです。

それを見て不憫に思った女神アフロディアがその像に命を与え、王の願いはかなえられたのでした。


ピグマリオン王のように、相手に対して願い続ければそれが実現するという神話からもじってピグマリオン効果と名付けられたのでした。


なぜピグマリオン効果は起こるの(。´・ω・)?

では、なぜピグマリオン効果が生じるのでしょうか。

子どもが褒められることで、モチベーションが上がっていくからでしょうか。

ほめられて、「よーしがんばるぞー」と意欲を持つから成績が伸びるのでしょうか。

確かにそれもあると思います。

しかしながら、この誉めるという行為によって影響を受けるのは、子どもだけではありません。

教師自身も子どもに期待することで、その期待に応えてもらえるような行動をする傾向があります。

例えば、児童二人が算数の授業中に指名され、答えを間違えてしまったとします。

そのうちの児童Aは普段からまじめに授業をうけ、課題もしっかりと出しています。

それに対して児童Bは授業態度も悪く、課題の提出率もよくはありません。

児童Aは教師受けが良く、将来が期待されるタイプなの対して、児童Bは教師からはあまり期待されるタイプではありませんよね。

さて、話を戻します。

問題を間違えてしまった二人に対して、教師は同じ対応をとるでしょうか。

多くの場合、異なると考えます。

普段から授業をしっかりと聞いている児童Aに対しては、少しの助けがあれば問題を解くことができると考え、ヒントを出したり、たまたま間違えてしまっただけだから次も頑張ろうとフォローをいれたりするのではないでしょうか。

それに対して児童Bはどうでしょう

おそらく、普段から授業態度が悪く、課題も出さないから問題を間違えるのだ、自業自得であると考えるのではないでしょうか。

場合によっては叱責する場合もあるでしょう。


この対応の違いは、児童AとBに対する期待の差です。

教師はAは真面目な生徒だから丁寧に指導したらできるようになると期待しているため、望ましいフォローをすることができましたが、児童Bにはいつも授業を聞いていないからできないのだ、とネガティブな期待を抱いているのです。


これが続くとどうなるでしょうか。

児童Aは教師の期待するように学習へのモチベーションを持ちつつ、学習を進めることができるでしょう。


それに対して、児童Bは教師が考えるように、学習への意欲を失い、学びを止めてしまうでしょう。

このように、ピグマリオン効果においては、期待や予測をすることで、子どもと教師双方に影響があり、結果として子どもの人格が形成されると考えられているのです。

教育現場において、児童Aと児童B、どちらの児童・生徒を増やしたいですか? 

当然児童Aですよね。私もBのようなタイプの児童には、少しでも良い傾向に成長できるようになってほしいものです。

教師も人間なので、難しいところもありますが、児童・生徒の心身健全な成長を促すためにも、期待をもって接していきたいものですね。


ただ、褒めればよいのか。期待すればよいのか。

先述した様に、子ども達の人格が望ましい成長を促すためにも褒めること、期待することは大切だと思います。

じゃあ、取り敢えず何でも褒めればよいのでしょうか。

これには疑問を覚える人も多いでしょう。

じゃあ、いつどんな時に、何をほめればいいのでしょうか。

また機会があれば、年齢別にどのような褒め方が適切なのか考えていきたいと思います。

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