米国公認会計士試験と日本の公認会計士試験について

ご存知の通り、日本の公認会計士試験は超難関資格である。私が知っている合格率はもう10数年前だがたったの6%である。
そもそも日本の公認会計士資格を志す人のほとんどは一定の難関大学に入学できる基礎学力を有している人がほとんどで、そういった受験者層の中でたったの6%しか合格できないほどの超難関資格である。
以前聞いた話だとビッグ4といわれるデロイト、PwC、KPMG、EYと提携している日本の大手監査法人の毎年の採用人数に合わせて合格者数を調整しているという話も聞いたことがある。
つまり日本の公認会計士試験には明確な合格基準というものはないとも考えられる。

これは公認会計士試験に限ったことではなく、他の資格にも共通することなのだがあくまで合格者の数は毎年の需要に応じて決められているものと思われる。
私は司法試験については全くの素人だが、法科大学院設置以前の旧司法試験でも同じ状況だったと思う。
もしかしたら法科大学院設置後の新司法試験もそういった状況を鑑みて合格者数が決まるのかも知れない。そこはよく分からないが。

翻ってアメリカの公認会計士資格、司法試験に関しては合格ラインは非常に明確だと思う。
なぜ思うと表現したかというと、単にアメリカの公認会計士試験しか経験してないからなので悪しからず。
私が米国公認会計士を受けた時代は出願州まで飛行機で旅立ち現地の試験会場で試験を受ける必要があった。
受験資格は各州で異なっていたもののアメリカの司法試験とは違い、全米どの州でも試験問題や科目は共通だった。
米国公認会計士試験は科目合格制で合格基準は各科目において100点満点中75点を取れば科目合格という制度だった。しかしながら当時は科目合格のさせ方は各州でばらつきがあった。

私は日本から1番近いグアムに出願したのだが、当時は初受験者は4科目を2日に分けて2科目ずつの試験を受けるのが必須で、しかも4科目中2科目が合格点の75点以上でなおかつ落ちた科目でも50点以上取らないと科目合格が認められないというものだった。
私の記憶では多くの州で同じ制度だったと思うが、州によっては受けたい科目だけ受けてもいいとか、1科目のみ合格でも科目合格扱いしてもらえるとか州によってばらつきはあった。
当時は現地の試験会場に赴いて紙ベースで試験に回答するいわゆるペーパーベースド試験だった。

なお、現在はテストセンターに赴いてパソコンと睨めっこしながら試験を受けるいわゆるCBTに変わっている。追加料金を払えば日本国内で受験することもできる。
科目合格の取り扱いも各州で統一され、受験は1科目からでも可能となっている。
ただ変わってないのは合格点が75点以上ということ。明確に合格基準が示されている。
そうやってコツコツと各科目(米国公認会計士試験は4科目)を合格すれば晴れて米国公認会計士試験全科目合格者となる。

そもそも日米の主要資格に対するスタンスは全く違う。
日本の主要資格は極端に合格が難しいものの一旦合格してしまえばある意味で特別な存在として扱われ就職、転職先でも重宝される存在となる。
一方でアメリカの資格試験は一定程度のクオリティを認めるものに過ぎず、その後は自分の頑張りで成功しなさいという性質のもの。
実際にアメリカでは弁護士資格を取ったにも関わらずパフォーマンスが悪いとパージされ、実は弁護士資格を持っていたけどそれでは食えずにタクシーのドライバーをやっているような人もいると聞く。
公認会計士でもアメリカでは同様であろう。
弁護士も公認会計士もアメリカでは真面目に試験に取り組めば基本的に合格できる資格なので日本のような希少価値はない。

どっちがいいのだろう?超難関資格にして希少性を与える日本式のほうがいいのか、一定程度の資質を持った人を合格させ、市場競争に晒すほうがいいのか?
自分意見としてはアメリカ型の後者の方が好ましいと思う。
日本型の場合、資格を持ってなければいくら経験知識、実務能力があっても士業法の壁に阻まれて独立開業はできない。一方でそのような実力のある人材ならばアメリカ型の資格制度なら資格は取れるだろうし、マーケットにおいて競争が促進されて利用者にとってはより便益があるだろうとおもうから。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?