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道立小黒内高校 3年イ組「私立海布島津高校から来た女」
「私立海布島津高校から来た女」
小黒内高校には、国内の底辺高校との間に交換留学?制度がある。成績優秀者は募集枠内であれば旅費や滞在費等が支給され数週間程度(国内ではあるが)、別の学校で学びを得る事ができる。
今年もまた、イ組に「海布島津(メシマヅ)高校」から一人の生徒がやってきた。
その彼女の名は「桑山サラマクシミリアナビッチスターリング」。清楚で、一見高級そうな風貌を持つ彼女は、「上の下」レベルの美しさを誇っていた。彼女の名前は風変わりな両親がサイコロ頼みで付けたもので、純粋な日本人だ。いや、もっと言えばちゃきちゃきの江戸っ子だ。
彼女が小黒内高校に来てから、クラスは明らかに明るくなった。それは彼女が奇抜な名前を巧みにユーモラスなギャグに変え、クラスメイトたちを笑わせるからだ。それが教師たちを困らせることもあるけれど、生徒たちはそんな彼女の存在を心から喜んでいた。
中でも一人、彼女に特に心を奪われた生徒がいた。その名は田中太郎。普通の高校生だが、漫画家のアシスタントをしている彼は、桑山サラマクシミリアナビッチスターリングの風変わりさに心を引かれていた。彼女のユーモラスな名前と性格、そして彼女が放つクラスを明るくするパワーに、太郎はどこか魅力を感じていた。
そんなある日、太郎は教室で一人、次の漫画のアイデアを考えていた。すると、桑山サラマクシミリアナビッチスターリングが彼のところにやって来た。「太郎、何をしてるの?」と彼女は尋ねた。「ああ、ただのアイデア出し…」と太郎が答えると、彼女は自分の名前を引用して冗談を言った。
その瞬間、太郎の心には確信が湧き上がった。彼は彼女の風変わりさに引かれているだけでなく、彼女自身に惚れてしまっていたのだ。それ以来、太郎の漫画は新たな色を増していった。それは、桑山サラマクシミリアナビッチスターリングの色だった。
太郎の気持ちは日に日に強くなっていったが、自身の感情をどのように表現すべきか戸惑っていた。その間にも、桑山サラマクシミリアナビッチスターリングはクラス全体を楽しく、そして太郎の心を揺さぶり続けていた。
ある日、太郎は自分の感情を直接彼女に伝える勇気を持てず、漫画の一部として自身の気持ちを描くことにした。物語の主人公は、ちょっと気弱な漫画家のアシスタントで、彼の恋人は風変わりな名前を持つ、楽天的でユーモラスな女性だった。
この新たな物語を描き始めてすぐ、太郎の作品に変化が見られるようになった。それは、登場人物のエネルギー、ダイナミックなストーリーテリング、そして何よりも、純粋な感情が描かれていたことだ。
クラスメイトたちはすぐにこの新しい変化を気づいた。そして、その中には桑山サラマクシミリアナビッチスターリングもいた。彼女は太郎の新しい作品に深い興味を持ち、太郎が描いた物語に自分自身を見つけることができた。
それから数週間後、桑山サラマクシミリアナビッチスターリングは太郎に向かって、大胆な質問をした。「太郎、その物語の主人公と恋人は、私たちのことじゃない?」と。
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太郎は一瞬、言葉を失った。しかし、その後彼は深呼吸をして、彼女の質問にはっきりと答えた。「うん、そうだよ、サラマクシミリアナビッチスターリング。それは僕たちの話だ。そして、僕は君に恋をしているんだ。」
その日以来、太郎と桑山サラマクシミリアナビッチスターリングの関係は新たな次元へと進んでいった。彼らの間には、笑いとともに、愛という新しい感情が生まれていた。
その後、彼らの間には笑いとともに、愛という新しい感情が生まれていった。しかし、これが底辺高校・小黒内高校ならではのドタバタラブストーリーだ。次の日、学校全体に二人の関係が知れ渡り、騒動となった。
それが小黒内高校にとっては日常茶飯事だったのだが、海布島津高校にとっては大ニュースだった。その結果、桑山サラマクシミリアナビッチスターリングはあっという間に学校一の話題の人物になった。さらに、海布島津高校の校長は「我が学校の誇りである桑山サラマクシミリアナビッチスターリングが小黒内高校の生徒と恋愛?ありえない!」と大激怒。
そこで校長は思いつく。緊急に留学生の返還を命じたのだ。桑山サラマクシミリアナビッチスターリングは急遽、小黒内高校から海布島津高校へと帰ることになった。
別れの日、二人は学校の門で見つめ合った。桑山サラマクシミリアナビッチスターリングは太郎に微笑み、「次に会う時は、私は短い名前になるのね。」と言った。
「田中スターリングに!」
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え?田中は驚いた。彼女の名前は「スターリング」だった。「桑山サラマクシミリアナビッチ」が苗字だったのだ。田中の漫画の構想は根底から覆された。
「それじゃ、ダメじゃないか!あれだけ張った伏線が全て瓦解してしまう!」
それからというもの、太郎の漫画の中にスターリングが登場しなくなった。そして、彼女がいない学校生活は続いた。
これが、底辺高校・小黒内高校のちょっと笑える、ちょっと切ないラブストーリーの結末だった。
「恋のアドバイス」
マドンナ、森田桜子先生は田中の元気が無い事に気づき、カウンセリングを申し出た。田中は傷心を癒やすため森田先生の提案に同意した。
「そう。恋愛の話なのね。」森田先生は真剣な眼差しで続けた。
「いい。とにかく、良く話し合うことよ。会ってちゃんと話すの。自分の事、相手の事、二人の事、とにかく会って話をするのが一番よ。ちゃんと目を見て話し合うの。」
「・・・(いや、先生。彼女はもういないんだ。)」
田中には返す言葉が無かった。森田先生はその田中の態度を納得したものと思い「わかったようね。さ、行きなさい。今すぐ彼女の元へ!今すぐよ!さぁ、行け!若者よ!私も若いけど。」
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「青春ってやっぱり素敵だわ〜」
満面の笑みを讃える森田先生だった。
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