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道立小黒内高校 3年イ組「智者の神の如き業」

「智者の神の如き業」

山口梨乃は3年イ組に君臨する学業の女王だ。鋭い洞察力と卓越した頭脳が彼女の最大の武器であり、その未来は博士か大臣か。しかし、そんな彼女が何故この小黒内高校にいるのかは、クラスメイト全員が抱く深い謎であった。

学期末テストの日が訪れた。通常の雑踏が行き交う教室は一変し、静寂が広がった。空気が凍りつく中、山口梨乃もその一人となり、問題に真剣に取り組んでいた。

この試験が、彼女の人生に大きな転機をもたらすことになるとは、誰もが予想だにしなかった。結果発表の日、山口梨乃のテストの結果はクラス全体を驚愕させた。驚きのことに、彼女の得点は全科目で見事に平均点であった。

この事実が広まると、教室中がざわついた。彼女が突如として脳みそを失ったのか、あるいは心に深い傷を負ったのか。しかし、その真相は山口梨乃の心の内だけが知る。

そしてついに、その神秘が明らかになった。山口梨乃は意図的に平均点を取っていたのだ。彼女の目的は、学業成績だけが全てではないということを、クラスメイト達に示すことだったのだ。彼女自身もまた、頭脳だけでなく他の要素も大切にすることを学びたかったのだ。

彼女の行動は学校全体に衝撃を与え、同時に多くの生徒たちを深く考えさせた。それぞれの人が持つ独自の才能や特性を尊重し、それぞれの道を追求することの大切さを彼女は示したのだ。

底辺高校・小黒内高校の生徒たちは、山口梨乃の意外な行動から大きな教訓を得ることになった。それはこの学校にとっての新たな伝説となり、今後の学校生活に大きな影響を放つことになるのだ。

「すごいよね、山口さんって。平均点って、まさに中央値。どう考えても計算じゃなきゃ無理だよね」と、クラスメイトの一人が感嘆の声をあげた。教室内は一様に山口梨乃の行動に興味津々で、それぞれがまさに神業と口にしていた。

山口梨乃自身はただ、淡々とした表情でそれを聞き流していた。でもその瞳には、彼女自身が成し遂げたことの誇りが輝いていた。誰もが知る彼女の頭脳だけでなく、それを超えた新たな領域へと自分が踏み出したこと。それは彼女自身にとっても、新たな挑戦だったのだ。

「ねえ、山口さん。なんでそんなことしたの?」と、クラスメイトの一人が尋ねた。山口梨乃は少し考えた後、静かに答えた。「私たちは皆、それぞれが持つ才能や特性を尊重しなければならないと思うの。学業成績だけが全てじゃないんだよ」

その言葉が広がると、教室中が静まり返った。その瞬間、山口梨乃はただの優等生から、全校生徒の心の中に深く刻まれる存在へと変わった。彼女が提唱する、それぞれの道を追求するという思想は、底辺高校・小黒内高校の新たな伝説となり、これからの学校生活に大きな影響を及ぼすことになった。

そして、山口梨乃の行動は、クラスメイト達に新たな可能性を見せた。頭脳だけでなく、自分が持つ才能や特性を生かすことの大切さを彼女は示した。その思想は、底辺高校・小黒内高校の伝説となり、彼女の名前は永遠に語り継がれることになった。

「山口式数III暗唱訓練」

3年イ組の体育の授業。井上大輔先生が始業に際し、全員で整列しジョギングするように指示をした。
イ組の生徒達は、山口梨乃大隊長の「整列!」の声と共に、彼女を先頭に、3つの中隊が列を作る。
そして、まるで軍隊の戦闘訓練のように、掛け声揃えて走り出す。

「微分積分、解の合点!」「 無限小、大きな未来点!」
「三角関数、周期の宴!」「 サイン・コサイン、タンジェントを連ね!」
「指数対数、魔法の繋がり!」「eの力で、未来を刈り!」

山口大隊長は言う。
「どだい、掛け声にするなんて無理なことは先刻承知よ!それを超えてこそのイ國軍人魂よ!死ぬ気で声を出しなさい!」
残りの24人が声を揃えてそれに答える。
「イエス!マム!」

「微分係数、変化の速さ!」「yがxで、動きを計ることを誓っ!」
「定積分、面積の主!」「関数とx軸、抱き合わせ!」
「基本定理、微分積分の連携!」「fからFへ、逆から逆への旅立ち!」
「連鎖律、複合関数の必需品!」「外側内側、すべてをつなぐ手紙!」

山口大隊長は言う。
「全員ここまでよく頑張った!今日は解散してよしっ!」
残りの24人が声を揃えてそれに答える
「イエス!マム!」
彼らは互いを称え合いながら、校舎へと帰っていった。

井上先生が一人グランドに残り、背に後ろ手を組み、寂しそうに足元の石ころを蹴っていた。
「ボク平気だもん!寂しくなんかないもん!」

さすがコメディ演劇部部長の山口さん。大隊長も様になっている。

先生は、お前たちを厳しく指導するつもりなんかないんだよ。
楽しく一緒に汗を流したかっただけなんだ。