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見えない障害と『合理的配慮』 〜双極性障害の頭の中 46

みなさん、こんにちは。
双極性障害2型(双極症)のフツーの会社員、パピヨンです。

私は昨年障害者手帳3級を取得し、自ら進んで一般雇用から障害者雇用になりました。
給料をもらっている以上、なるべく他の人と同様に通常勤務したいと頑張ってはいますが、当然頑張れないこともあります。

会社勤めの中での“見えない精神障害”に対する『合理的配慮』について、書いてみたいと思います。



◾️合理的配慮とは何か?


私が初めて『合理的配慮』という言葉を聞いたのは、主治医との診察の中です。
双極性障害は極めて病識を持ちにくく、調子が良くなってくるとつい「私、病気じゃ無いのでは?」という思考が始まってしまいます。
私はその思考のストッパーとして障害者手帳を取得しました。
その際主治医に、

「手帳があれば、会社に合理的配慮も求めやすくなりますしね」

と言われました。
『合理的配慮』とはなんぞや?
今まで自分が障害者になるなど夢にも思わなかったので、全く障害者に関する法律のことを知らなかった私は初めてその言葉を聞いたのです。


2016年に施行された「障害者差別解消法」により普及した言葉である『合理的配慮』
今までは【努力義務】でしたが、2024年4月から民間企業にも【義務化】されます。

合理的配慮とは、障害者から何らかの助けを求める意思の表明があった場合、過度な負担になり過ぎない範囲で、社会的障壁を取り除くために必要な便宜のことである。

Wikipediaより

なるほど。
“頑張れない”ことは会社に言っても良いということか。

「障害者だぞ!」と権利を振りかざすつもりは更々ありません。できる限り頑張っていくつもりです。
しかしながら会社に「障害者である」ことを開示している以上、会社側は私が障害者であることを踏まえた上で雇用していることになります。すなわち会社員における『合理的配慮』とは、“頑張れない”ことを“頑張れない”と言っても良い権利と捉えています。



◾️満員電車が苦手だ

そもそも満員電車が好きな人なんていませんけどねー。
東京都心の朝の通勤電車は、それはもう凄まじいのです。
もはやニンゲンの乗り物では無い。
そして、暗黙のルールと熟練のコツが求められます。

乗り込む時は、半ばタックル。
次に開くドアを考慮したポジショニング。
吊り革の無い場所での揺れに対応するための足の向きやバッグの持ち方。
絶対に喋ってはいけない沈黙の圧力。

シロウトにはおよそ乗りこなせない代物です。
そう、私は満員電車がとても苦手なのです。
だんだん空気が吸えなくなるイメージが湧いてきてしまって、何度か過呼吸になりかけたことがあります。
今は電車の中だけヘルプマークを付けて出勤しています。↓↓


ラッシュを避けるため、私は朝の出勤時間を30分遅くずらした“無期限フレックス出勤”を許可してもらっています。
その代わり勤務時間はみんなと一緒です。就業時間は30分遅くなります。
今までは、これが唯一会社にお願いした『合理的配慮』でした。


◾️2度目の『合理的配慮』のお願い

人件費削減のため、今まで会社ビルにいた守衛さんが解雇されました。
それにより、会社ビルの鍵の開け閉めを社員が当番制で行うことになりました。
防犯等責任を伴うため、一定の階級以上の社員が担当することになってしまったのです。
私は障害者雇用にも関わらずそこそこ昇進しているため、“鍵当番”に組み込まれてしまいました。

困った…。
早出はまだいいけれど、鍵閉め当番は仕事が無くても19時半まで会社に残らなければならないという。

私は通勤に1時間以上かかるのです。
しかも休職してから、主治医には「極力残業をしないこと」と固く言いつけられているため、現在ほとんど残業はしていません。
帰宅時間が遅くなると、寝る時間も遅くなるなぁ…。

悩んだ末にダメ元で、2度目の『合理的配慮』をお願いしてみることを考え、人事総務部長宛にメールを書きました。

私は現在、生活リズムを崩さないよう「極力残業をしないように」と主治医に指導されています。
従って、19時半まで会社に残らなければならない鍵当番は免除してもらえないでしょうか?
診断書等が必要でしたら、主治医に相談します。
合理的配慮を検討いただきたく、お願いいたします。

私のメールに対して、人事総務部長から返信が来ました。

こちらこそ、配慮が行き届かず申し訳ございません。
ご体調を考え、始めから当番を外すべきでした。
鍵当番の残業はしなくて結構です。

なんと、あっさり免除してもらえました。
私の会社がたまたま良心的という可能性もありますが、確かにこういう時にオープン就労はメリットがあります。

「先生が言っていた、会社に『合理的配慮』を求められるって、こういうことかー」と納得しました。

双極性障害は目に見えません。

“見えない障害”に対して、一般の人にあらかじめ『合理的配慮』を求めるのは無理な話です。

こちらから言わなければ、何に困っているかなんて分かるはずがありません。
就労において、障害者側もちゃんと意思表示しなければいけないなと感じました。


それにしても。
令和の時代に“鍵当番”って、どうなのよ(笑)

「残業したい人が最後に締めればいいじゃん…」

という『合理的』な考えがよぎったことは心にしまっておきます。

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