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宇宙少女ソニア第三話 洗脳宗教ブロスの会 中編

 ソニアとマイは、洗脳宗教ブロスの会の秘密を探るために、教団本部に向かった。教団本部は、地域の溜池である弁天池の西岸にあった。弁天池の西岸から弁天池の中央に向かって橋があり、先端に一つの楼閣が聳え立っていた。そこが本拠地である。弁天池の西岸に着くと、いきなり、異様な光景に出くわした。
信者による勧誘活動を目にしたのである。
 
  最初に目に入ったのは、光沢ストッキングを履いたOL風の女性信者、進藤礼子が、一人の野暮ったい男性を口説いている光景である。
 「入信したら、結婚してあげる。」と迫っているのである。しかし、その男は、「怖い、怖い。モテない俺でも、まともな社会常識のある女と結婚したいのだ。さすがにお前のような新興宗教女は嫌だ。宗教は怖い、不気味すぎる。いくら綺麗な女でも、嫌だ。」と言い、無視して逃げ去った。

 
 次に、眉毛がない、しかめ面の男、みぜらんが、一人の性格が弱そうな真面目な女子大生に説教をしていた。
 「信じろ。信じないと、怒るぞ!!」と言いながら、その女子大生を叱りつけていた。実は、その女子大生は、改造手術を強制されるのが嫌で、教団から逃げようとしていた。みぜらんは、「改造手術を受けるんだ。お前の改造後の姿は、これだ!! テカテカのピンク鬼娘になるのだ!!」と言って、イメージ写真を見せた。ビキニ水着を着せられ、頭に可愛いツノがあり、全身、テカテカの光沢がある、どぎついピンク色の肌にされた姿であった。それは、女子大生を洗脳人体改造怪人ガール「ピンク鬼娘」にして、オイルレスリング専門の女子レスラーとしてデビューさせ、教団の資金源にしようとする企みだった。それを見るなり、血相を変えて、その女子大生は、池に飛び込み、対岸まで泳いで逃げ去った。

 最後に、黄色の肌に改造され、全身にサラダオイルを塗られた、洗脳改造信者少女のミリである。陸上女子のコスチュームを着衣し、数人のカメラ親父にポーズをとっていた。
 「自由に撮っていいわよ。でも、撮った人は入信してくださいね。」と言いながら、笑顔で対応していた。しかし、カメラを撮り終わると、カメラ親父は、そそくさと帰っていった。撮り逃げである。
 約束が破られたと泣き出したミリだったが、はたから見ていたソニアが、思わず、優しく微笑み、声をかけた。だが、ミリは、ソニアに対して、「私の気持ちなんてわからないくせに慰めないで!!」と言い返した。ソニアは、それでも笑顔で、「なんでも話して悩みを聞くわ」と優しく言った。
 ミリは、自分の過去を話し出した。母子家庭で、毒親に育てられ、辛い思いをしてきたこと、高校に進学しても、女子友達に裏切られたこと、不登校になって母親に叩かれ、児童相談所に一時保護され、母親のもとに帰されたが、やはり虐待は続き、家出したという。そんな時、進藤礼子に勧誘され、ブロスの会に入信したことを告白した。そして、科学者ポーによる肉体改造手術を受けたら、トラウマ除去儀式でトラウマを除去してくれると言われ、悪趣味な肉体改造手術を受けしまい、身体能力が異常に強化され、テカテカの黄色い肌にされた姿になったという。改造後に、高校の陸上選手として活躍し、奨学金をもらうことに成功したものの、黄色くてテカテカな肌のために、出場禁止処分となり、大会に出ることができなくなったという。
 ミリはそう語ると、一生普通の人間に戻れないと嘆き出し、「黄色い肌の女の子なったのよ。あなたみたいな普通の可愛い女の子には私の気持ちはわからないわ!」と叫んだ。
 その話を聞くと、ソニアは、「私も同じよ」と言って、「変身、カッパーチェンジ!!」と言ってジャンプし、人間モードから、全身緑のカッパ星人モードになった。「これが私の正体よ。おなたと同じよ。」と言った。
    ミリは、緑色のテカテカ肌のソニアを見て唖然とした。しばらくすると、ミリは涙を浮かべ、ソニアに抱きつき、「ありがとう」と言った。ソニアは、「友達になろう!」と微笑んだ。続けて、そばにいたマイも「私も友達よ」と言ってくれた。三人は、仲良しの友達になったのである。


 とりあえず、その日は、ソニアとマイは、ミリを連れて、引き返すことにした。ソニアの宇宙船がある川辺に着くと、ミリの担当の児童福祉司であるセイワさんがいた。セイワさんは、ミリと話し、同意をとり、当分の間、ミリをソニアに補導委託することにした。毎日、ソニアは、ミリのカウンセリングをすることになった。マイも手伝ってくれた。
 しかし、そんな楽しい日々も長くは続かなかった。突然、ミリは、手紙を残してブロスの会に戻って行ってしまったのである。
 「居場所になってくれてありがとう。でも、やっぱり、トラウマが治りません。苦しいです。トラウマをブロス様にとってもらい行きます。」という手紙を残して・・・。
 ソニアとマイは、ミリを取り返しに行く決意をした。
 (後編に続く)
 



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