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手が汚れたら洗いますよね。葉っぱで拭く人っていませんわよね|Essay

ふとしたはずみで、「環境活動家Robin Greenfield氏は、市販のトイレットペーパーを買う代わりに、葉を使うよう人々に呼びかけている」という書き出しではじまる記事を読んだ。

ふむふむ。
なんでも、彼は庭に生えているBlue Spur Flower(和名:プレクトランツス・モナラベンダー)の葉を摘んで、それをおしり拭きに使っているらしい。あまつさえ、その苗を人に配ったりもしているらしい。

米国の平均的な個人は1年間に150ロールのトイレットペーパーを使っているから、週40時間労働の人生の2ヵ月相当がトイレットペーパー代を稼ぐための日数になると、彼は舌鋒鋭くなく弾劾する。トイレットペーパーを減らせば、木を伐採し、紙を製造し流通させ処分するのに必要なエネルギーを削減し、温暖化防止に役立つとも語る。

正論だ。
だから今すぐ葉っぱでおしりを拭こう、とはならないが、世界のトイレットペーパー・プランツにはどんなものがあるのかと興味を持った。

でも意外と植物をおしり拭きに応用する例は少なくて、木や竹のへらとか縄とか手の指とかでこそいだり、水で洗ったり、まったく拭かなかったりとさまざまだった。木の葉としては、ニュージーランドのマオリ族のランギオラ(Rangiora)が具体名として出てきただけで、あとはお茶を濁したような話しかネットにはなかった。


ただ、日本の事情は詳しい情報があり、まずフキ(ズバリ「拭き」からきた命名)、次いでクズ、カキ、オオバコ、アジサイなど出てくる、出てくる。生のままだったり、少ししおらせたり、火であぶったりと、肌触りがよくなるようにいろいろと工夫もこらしている。さすがウォシュレットを生んだおしりをいたわる国だね。
食べ物を包んだホオノキの葉が、用を足したあとにも利用されたなんて記述もあった。一石二鳥だわさ。


そこで沖縄の事情を少し。
沖縄では日本と同じくフキ(ツワブキ)とかサツマイモの葉を使ってもいたらしいが、圧倒的シェアを誇ったのがオオハマボウ、沖縄名ユウナの木の葉だ。

おしりだっておんなじですby戸川純

オオハマボウ(大黄槿)はアオイ科の常緑高木。国内では屋久島以南に分布する。潮風に強いので海に近い場所でよく見かける。方言名はヨナ(与那)が音変化したのかもしれない。公園にもよく植えられている。暴れ木なので庭木には向かない。台風で倒れても、何事もなかったかのように横向きのまま枝を伸ばすほど生命力が強い。

オオハマボウの樹皮からとれる繊維は強く、その繊維を用いてつくった袋をカシガー袋と言い、イモ類や穀類を入れるのに用いた。花は一日性で、朝の咲き始めは黄色で、橙色から赤に変わって、夕方には花ごとボトッと落ちてしまう。そして、ケツのようにもハートのようにも見える葉はおしり拭きとして使われた。

このオオハマボウに似た葉を持つオオバギという木がある。

葉柄のつく位置が違うのよ

オオバギ(大葉木)はトウダイグサ科の常緑高木で、原産は沖縄や台湾など。高さは5㍍前後と大きくはならない。山や野原に自然に生えてくるありふれた植物で、花もさほどきれいではない。傘状の枝ぶりで木陰をつくるので、公園などに植栽されている。

この木の沖縄名は、「チビククヤー」や「チビカタマヤーガサ」である。チビはおしりのことで、カタマヤーは固まるという意。葉の表面に粘液があるので、肛門にくっついて固めてしまうことから名づけられたと解説されている。「括る」の意味のククヤーも同じ趣旨であろう。

パッと見が似ているだけに、間違えると大変なことになる。実際に大変なことになったから、教訓的に名づけられたのだろう。

この沖縄のおしり拭きの葉っぱのことは「ガジ丸が想う沖縄」というブログを参考にしている。博覧強記・博識多才でちょっぴりおちゃめな知の泉だ。だが主がお亡くなりになり、更新されていない。このままじゃサービス終了されてしまうかもしれないので、その前に一度のぞいてみることをお勧めしますよ。


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