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給食ダイエッター

私は、好き嫌いが多い子供だった。

いわゆる子供が好きそうな唐揚げやエビフライ、カレーにハンバーグ、オムライスといったものも嫌いだった。ちなみに寿司屋に行くと、かんぴょう巻きとお茶を嗜んでいたそうだ。家のごはんで喜んで食べていたのは、ひじきや筍の煮物や切り干し大根らしい。どおりで晩ごはんでの出没頻度が高かったわけだ。渋い。

これだけ好き嫌いが多いわけだから、栄養バランスが満点の給食なんて、食べられるわけもなかった。しかも唯一食べられる和食や魚は食べられたもんじゃなく、ソフト麺と呼ばれるビニールに入ったうどんもベトベトの粘土みたいになっていて、食べられなかった。

ものの5分でゴオゴオ平らげて、先生からよく噛んでゆっくり食べろと嗜められる同級生たちが羨ましかった。空腹に耐え切れず、無理して口に入れてみては、気持ち悪くなって吐いたこともあった。

それでもお腹は空くので、給食には付き物の牛乳は必ず飲み干して、運良く食べられる漬物などがあればそれだけ食べる。12時のお昼ご飯が終わっても、まだ2コマ分の時間割が残っているので、わたしはたった200mlの牛乳で残りのコマを凌がなければいけない。とても辛かった。

実はここだけの話、あまりにも空腹が辛いので、家に常備されていた梅味の粒みたいなもの(今思うとこれ何だったんだ……?)をティッシュに包んで隠し持っていき、トイレでこっそり食べてたことがある。よりによってお腹にちっともたまらない梅干しの粒なんかじゃなくて、完全栄養食でも持って行けばよかったのに。やはり少し馬鹿だったのかもしれない。

パンやデザートが出たときなんかは超ラッキーで、献立が発表されてから楽しみでたまらず、献立表には赤丸印を付けていた。

さらに、16時頃に帰ったらすぐに夜ご飯を食べて、それ以降夜は体に悪いからと夜食みたいなのは食べさせてもらえなかったので、昼食抜きダイエットと夜○時以降は食べないダイエットを自然にしていたようだ。

肉や脂っこいものは食べず、朝や夜は適度な炭水化物と焼き魚を進んで食べ、追善に並ぶような和食で野菜も摂っていたので、栄養もしっかり摂取できていたらしい。

揚げ物や肉が大好物となった今では、その偏食っぷりや習慣が心底羨ましい。「あの頃の食の好みよ、どうか戻ってきておくれ」と懇願しながら、今日も薄目を開けて体重計に乗る。

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