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正社員信仰が崩壊しつつある理由

日本は長らく正社員は安定であり、最終的には幸せになれるという信仰じみた社会常識がある。
実際、生涯の賃金は非正規はどうしても低くなり、年を重ねる程に差がついていくというデータがある。
しかし、今では若者を中心に正社員信仰が崩れつつあり、セミリタイア、FIRE、ドロップアウト等で非正規を選択する者達が増えているのだ。
何故そのような現象が起きているのか考察していきたい

1.非正規の待遇の上り幅に対して、反対に正社員の待遇はあまり上がっていないから

今はまだ正社員信仰によって待遇悪くとも正社員の方が良いと考えてしがみつく者が多く存在しているのが現状だ。
その結果非正規が慢性的に不足している状態が続き、市場原理により徐々に非正規の賃金は上がり続けたのである。
また社会保険も週20時間または月88000円稼げば受けれるようになり、非正規でも正社員並の保障はあったりする。
一方待遇悪い正社員は何年務めても待遇は悪く、労働は増え責任も増えるのにろくに手当、昇給も無い企業も多いのである。
今となっては非正規を1とした時、正社員は1.5〜2倍は仕事が多いのに貰える金が見合ってないとかザラで、下手すれば非正規のが高い企業も珍しくない。
そこに気付いた者たちが稼げないなら、まだ気楽な非正規のが良いのでは?となりつつあるのである。

2.労働の高度化、高密度化により1日8時間週5日の労働時間ではきつくなってきている

時代が進むにつれて正社員は様々な能力を必要とするようになっていった。
PCスキルや様々な仕事を覚える記憶力、マルチタスク能力はその筆頭であろう。
更に密度も上がってきており忙しなく仕事し続けないと終わらない量を振られることも多い。
更に上記でも取り上げた待遇の上がらなさと組み合わさり、正社員は割が悪いというのも離脱者の増加に拍車をかけているのだ。

3.正社員信仰を悪用されすぎている

これが一番大きな理由で、正社員信仰の大本である安定をダシに人材を使い潰す企業があまりに多い。
ブラック企業はその筆頭であり、正社員にしがみついてしまう人が後を絶たず労働力の搾取が蔓延してしまっている。
そしてメンタルや身体を壊し、正社員ではいられなくなったり自殺してしまうなどの社会問題にまでなっている。
無論、そんな状況を見てきた若者を中心にそのような会社に残らなくなり、中には中年以降も逃げ始めているのが現状である。
昨今のニートの増加、人手不足の原因は搾取から逃れる者たちが増えたのも原因なのだろう。

4.正社員の安定に価値が無くなりつつある

正社員信仰の悪用で安定をかなぐり捨てて非正規に走る人が増えるに従い、安定というものに価値が薄れていっている。
転職市場が盛り上がり、人手不足ですぐに仕事に見つけるのが容易になれば首の切られにくさ、安定が無くても何とかなるからだ。
そうなると仕事の割りの良さ、楽さが重要になっていくのである。
それも正社員信仰の崩壊に一役買っているのである。

5.非正規の欠点が薄れていってる

非正規の欠点と言えば契約の切られやすさ…人手不足環境では切られても次はすぐに見つかる。
社会的信用が無いので、ローンが使えない…学生〜正社員の内にクレジットカードを作っておけば分割払い可能
ボーナスの無さ…派遣なら時給の高さが実質ボーナス、パートやバイトは気楽さとトレード
退職金の無さ…純粋にマイナスだがこれも気楽さとトレード

6.正社員の働き方が時代と噛み合ってない

最近では金持ちの時間版ともいえる時間持ちという概念が生まれ、金は無くとも時間が欲しいという人が増えてきている。
正社員は休日出勤や残業で拘束時間が長くなりやすい為、時間持ち狙いの人とは相性が悪い。
また仕事の高度化で適正無いならすぐに職を変えた方が良い時代になっており、正社員の辞めにくさはネックになってきている。
また一つの会社に長く勤め続けるとつぶしが効きにくくなりやすいのもネックである

まとめ

正社員は高度成長期〜バブル期のように年収が鰻登りの時期なら良かった制度だが、現代のように上がる企業と上がらない企業の2極化が進み、派遣があちこちいける時代には噛み合わなくなってきている。
また、正社員神話をダシに人を使い潰す企業が正社員神話を崩壊させていった皮肉もあり、正社員という働き方に拒絶反応が出る人も増えているのだ。
また、同一労働同一賃金などの非正規労働救済で正社員の優位性が薄れていっているのもあり、優良企業以外は正社員になる必要性が薄くなってきている。
これからの時代は非正規でも十分な時代なのかもしれない。

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