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自分史(2001~2003)音楽専門学校時代の話し③

「アンサンブル」のクラスとは、要するに学校内の生徒同士でバンドを組んで、先生がそのバンドにあれこれ指導するという授業だ。

だけど、別に「好き勝手にバンドを組め」という話しではない。そして、「参加する生徒同士に技術的な隔たりがあると、楽しむものも楽しめない」ということで、アンサンブルのクラスに入る前に、各楽器ごとにランクを決める試験が準備されている。

ランクは、Ⅰ~Ⅶまであるが、最初の試験では概ねⅢ~Ⅴに振り分けられる。

Ⅲ、普通。
Ⅳ、ちょっと上手い。
Ⅴ、頭一つ抜き出ている。その年に入った生徒で1人か2人。

なんだか、このランク分けの時点で「テクニック至上主義」的な臭いがプンプンして嫌なのだが。その話しは、後に取っておきます。

試験はマイナスワン(ドラムの音だけ抜いた)音源に合わせてドラムを叩いて審査するもので、私のランクはⅣになった。

アンサンブルは、ランク別にクラスを選択できるシステムになっており、ランクが上がるにつれて、担当する講師の得意なジャンルが際立ってくる。JAZZクラスとか、FUNKとかR&Bみたいに。当然、参加する生徒のレベルも高くなってくる。

というわけで、正直な話し、専門学校の後半は、ほぼ、この「アンサンブル」の授業の記憶しかない。結局のところ、私は「バンド」が好きだったのだ。
音楽理論のクラスも身が入らなかったし、セッション的なものもそんなに好きになれなかった。専門学校の2年目からは(自分史のなかでも話している)バンドAに加入し、レコーディングやライブ活動なども始めていた。

アンサンブルのクラスは、基本的には先生の持ってくる譜面を見て、課題曲を生徒が演奏する授業で、半年後に集大成としての発表会がある。
そして、その発表会での演奏も含めて、クラス解体後には再び個人のランクが発表され、次のレベルのアンサンブルクラスを選択するという仕組みになっていた。

最初のクラスでの発表会で演奏した曲は
Led Zeppelinの「Immigrant Song」
Deep Purpleの「Black Night」
Deep Purpleの「Burn」
だったのを覚えている。

ハードロック好きなメンバー(ロン毛でソバージュ)がいたことから、こんな選曲になったと思うが、たしか3曲とも私のチョイスだったと思う(客観的に見て、我の強さを感じる)。

発表会後、私のランクはいきなり「Ⅵ」に上がった。

嬉しすぎて、上京するときに始発列車の見送りに来ていた彼女にメールで報告したことを覚えている(遠距離恋愛だった)。

その後は、名の知れたR&Bシンガーの先生が務めるR&Bクラス。
FUNK界でも名の知れたベーシストの先生が務めるFUNKクラスなどに参加し、専門学校は卒業ということになる。

まぁ、卒業といっても、結局のところ本当の学校ではなかった(入学後に知ったのだが、学校法人?だった)わけで、卒業式もないし、ただ参加していたクラスが終わって、そのまま社会に放り出されるという感じだった。

『ここで、音楽の専門学校に行ったことについて一度振り返りたい』



つまり、「音楽は学校で学ぶものなのか?」ということ。このことについて、自分なりに結構考えてしまった時期があった。

演奏技術が高かろうが低かろうが、世の中に良い音楽はたくさんあり、クラシック音楽の演奏家ならまだしも、ロバート・ジョンソンマディ・ウォーターズも音楽の勉強をしているわけがない。セロニアス・モンクのように、一音聴いただけで「彼だ」と分かるような音楽家が学校で音楽を教わったわけがない。売れているカッコいいバンドも、ミュージシャンも、音楽を学んだりしていない人が多い。というか、伝説的なミュージシャンは大体が音楽を学校で学んだりしない。

そんなわけで、一時期は専門学校で音楽を学んだことに恥ずかしさを感じていたことがあった。

だけど、今、客観的にみてみると。大事なことは「いろんなミュージシャンと出会ったり、様々な音楽に触れて、影響されながら自分なりのサウンドを見つけていく」ことで、その過程で学校に行こうが、ライブにたくさん行こうが、偏った音楽を掘り下げようが、結局は良い音楽を産み出せるのであれば、どれでも良いのだ。と、思うようになった。お笑い芸人がNSCに行くようなものですね。

ぶっちゃけ、私が在籍していた専門学校とは、目黒区にあった「メーザーハウス」のことなのですが(公開しても大丈夫だよな?と迷いつつ)、最近調べたらこの学校は2020年に閉校になっていました。

時代ですねぇ。
ちょっと寂しい感じがします。

専門学校卒業後、私は新聞配達をしていた専売所のアパートに居座り、バンドAのドラマーとして東京での生活を続けていくことになります。
2003年。20歳かぁ。
まだまだ先は長いな。

続く。

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