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映画『TAR』感想
予告編を観て、怖い映画なのかと思った。ホラーまではいかないにせよ。
オーケストラ。マーラーの5番。
そんなところに惹かれ、気になったので観に行ってみた。
建築、ファッションなど、映像がスタイリッシュでとても良い。
舞台は主にベルリンで、ドイツの文化も気になった。
職人気質なところは日本人と通じる。
TARの乗るポルシェの電気自動車がカッコいい。
予告編から気になっていたが、やっぱり一番怖いシーンはTARが狂気的な表情で向かってくる場面だ。今でもフラッシュバックするくらい怖い(ケイト・ウィンスレットすごい)。
そして、なんとなく作品に一貫して流れていた予感。
「あぁ、これは精神疾患なんだ。やっぱり」という空気感が、その最終的な行動(行動化)で明白になる。
作中で
「音(雑音)に対して敏感になることは知性である」
的な(まったく正確ではない)
ショーペンハウアーの引用があり、感銘を受けてしまったのだけれど。
敏感になりすぎることが精神を病む方向性を含んでおり、感覚を研ぎ澄ますという芸術領域と精神疾患との紙一重な部分を改めて考えさせられた(音に敏感になることが統合失調症の初期症状の特徴である)。
いろいろとストーリー的に理解できていない部分もあったが(精神世界の混乱を表現しているという意味では成功している)、映像として、音楽として楽しめる作品だった。