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職業訓練校にて

先日、仕事の関係で、市内の職業訓練校の様子を見せていただいた。

見習いの大工、技能競技大会に臨む佐官職人、畳屋の跡取り。

そこにはそれぞれの分野で技能の向上に励む若者が集い、休日返上でベテランの職人から指導を受けていた。

冬の季語でもある寒稽古という言葉があるように、寒の時期には、努力研鑽という行いがいっそう尊く美しいものに感じられる。

人が試練に挑むとき、暑さ寒さの中では、それはいっそう厳しいものとなる。挑む者を見守る側にしても、尊敬や賛美の念が高まる。

夏の甲子園や新年の箱根駅伝という、学生スポーツの一大イベントが熱狂的に支持されるのにも、こうした季節の空気感によるところが大きい。


さて、この日は小寒を過ぎた頃の東北にしては暖かく、午前中はしとしとと雨が降っていた。午後になり雨が止むと、窓からは明るい光がさしてきた。

なので寒稽古という景色ではなかったものの、黙々と修練に励む研修生たちの姿は、どれもみな美しい。

その手仕事のひとつひとつが冬の空気の中にくっきりと浮かび上がるように、目に飛び込んできた。

寒の雨みごとに薄き鉋屑
畳針冬麗すっと貫けり

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