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独り言


小学校の頃

鍵っ子だった僕は
よく鍵を無くしていた

ちょうど二階建ての賃貸を借りて引越しをした頃
また、いつもの様に鍵を無くしてしまった

家の前で家族の帰りを待っていた

父親が帰ってきて
鍵を無くしたことを告げると

父は
僕を殴り
倒れた僕を足で蹴り上げた
そして、
地面に横向きに倒れていた僕の顔面を蹴った
その衝撃で頭の後ろにあった
ブロック塀に頭をぶつけた

顔も激痛が走り
後頭部も塀とぶつかった衝撃で激痛が走った

まだ、
それでも暴行は収まることは無かった
何度も頭や体に蹴りが入った事を覚えている
不思議とこの頃には痛みは感じず恐怖しか無かった

それが続いていた最中
隣の家の人が震える声で

何をしてるんですか!!!
警察を呼びますよ!!!

と言ってくれたおかげで暴行は収まった

すぐに父は逃げる様に車に乗り
殴っていた舗装されていない
砂場の駐車場に僕を置き去りにして去っていった

少し経つと姉が帰ってきて
僕は泣きながら家の中に入った

助けを呼ぼうとしてくれた近所の人が
裏口から

大丈夫???

と、メロンを持ってきてくれた
まだ、声は震えていたのをよく覚えている


2階に姉とあがり
姉が手当をしてくれている最中に
姉の口から耳を疑う言葉が出たのを
今でもハッキリと覚えている

分かったでしょ
私は毎日こんな風にやられている
やっとわかった???

と。
もちろん、その時の顔は思い出せない
が、これが姉の本当の気持ちなのだと僕は思った

夕方になり
父も帰り
母も帰宅して
姉も一階にいた

僕だけは怖く2階から降りれなかった

母は殴られたことは知っていたが
2階に来ることは一度もなかった

みんな自分の身を守るのが精一杯なのだ

かばえば今度は自分がやられる
そう思っているような
態度の様に僕は思えた

怖いながら一階に降りた

すると、
父は母に
また僕が鍵を無くしたことを告げていた
そして、
家のドアの鍵をまた変えないといけないからお金がかかる
と話をしていた
だから、腹が立ってどうでも良くなってパチンコに行ってきた
と、
暴行など何もなかったような日常の家族の会話らしい事を話していた

母はいつもの家族の会話の様に
そうなんだね
と、聞いて料理をしながら話をしていた

姉は口も出さずテレビを見ていた

結局、暴行の話は一切出ずに
この一連の話は終わった

今度からは無くさない様に
首から紐をつけて鍵を持つようになっただけだった

この事件で
助けてくれたのは、隣近所のおばちゃんで
心配してくれメロンをくれたのも同じ近所のおばちゃんだった

震える声で
何してるんですか!!!
警察呼びますよ!!!

これで助かった


家族がしてくれたのは

分かったでしょ
私のことが
と共感を求めてきた姉

そして、
父が腹が立ってパチンコに行った事を聞いていた母である

僕は何度も大人になって母に言っている

白岩家は僕の代で終わりにした方がいい。
と。

今思えば
すでに、
この時点で信頼性や家族としての機能は恐怖という言葉で失われていた


こんな内容を原稿用紙20枚くらいに書き、本として17才の時に作ってバイト先の先輩に見てもらった

すると、

すごい想像力だな!

と、褒めてくれたから

これは、全て事実です。

と伝えると

その先輩は数秒間ほど次の言葉が出なかった

その後、声のトーンを落とし
目次をつけてきちんと整理した本にした方がいい
と、最後に一言だけ言った

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