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透明性が高いから互いの思惑が一致する──『キーエンス解剖』読書感想文

書籍データ

要旨と感想

仕組みを作ることはできる。でも、それを長期にわたり徹底することは並大抵ではない。並大抵でないからこそ、それを実践し続けていることが何よりの強みになる。

そう改めて思わせる内容。

目の前の顧客の課題をしっかり炙り出し、把握し、提案し、実行までを支援できる

そこがキーエンスの強みだと、内外からしっかり理解されている。
課題発見〜解決までに必要な能力を備えた人材をしっかり獲得し、しっかりと育てる。
情報開示と共有を徹底した組織だからこそ、求める人材が集まるのだろうし、組織と社員との率直な対話が成り立つんだろう。組織にいるメリットが少なくなったら去るものも出るだろうが、人材が循環しても揺らがない強固な仕組み。

特に心に残った箇所の感想

製造方法を伝えるときに、
〜中略〜
各工程の目的を社員だけでなくパートにも必ず伝えていた。すると、その工程を担当するパートが別のやり方を提案してくれることもあるという。

→他者を「エキスパート」として重んじる。そうすれば、エキスパートとしての振る舞いが返ってくる。

キーエンス社員は、1時間で生み出すべき粗利を念頭に置きながら日々の仕事に取り組んでいる。

→自分がやるより外注した方が安い作業は外部に出す。仕事の基礎動作のように見えて意外にできないこと。稼ぎ出した粗利が自分に還元されているという実感が、その行動を自主的に徹底させている。

数字を示さなかったり論理を省略したりすると、それを確認するやりとりが発生し、最終的な答えに行き着くまでの時間が長くなってしまう。

→情報を持っている人を把握する能力。何を回答として得たいのかをふまえて、最適な質問をする能力。最低限身につけたい能力。

(抜き打ち監視に対して)虚偽の報告があれば誤った経営判断をしてしまうことになるため、ありのままの報告をすることが重要だった。

→これはなかなか難しい。正しいことを突き詰めるだけでは反発されるし、息苦しい。「何のために抜き打ち監視するのか」目的をきちんと伝えることが本当に重要。

「リード電機は、お客さんと営業マンが対等の立場です。でもお客さんから見て営業マンが対等だと思ってもらえるように、お客さんがビックリするほどの課題解決型の提案営業をします」

→人に認めてもらうには認めてもらえるだけの付加価値が必要。それが納得につながるし、評価につながるし、成果につながるし、売上につながる。

「滝崎さんは一人の後継者を育てたというよりも、意思決定を仕組み化した。誰がどのポジションでも同じ最適な意思決定ができる仕組みを整えた」

→結局、組織の仕組みを整えて、それを実行するマインドを整えることが一番サステナブルな運用につながる。

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