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結婚→出産→希望と絶望の間④

母乳に困ることはなかった。
右乳で授乳していれば、左乳からポタポタ出てくるくらい。小さめに生まれた娘は、疲れてしまうのだろう。ガブガブ飲めなかった。それでも小さな口は乳首を探し当て、一所懸命に飲んでいる。涙が自然と流れてくる。当初、1時間30分毎の授乳は、愛しさと疲労とが入り混じった涙だった。
小さいくせに、何故か泣き声はどう聞いても他の子と比べて、ハスキーだった。入院中も、私が爆睡している中、同室の方から、
「今泣いている子。たぶん、○○さんの赤ちゃんだと思います。」と教えていただいた。
「きゃぁ、気づかなくてすみませんっ!」と授乳室に向かう私。
「気づかなくてごめんよぉ〜。」と呟きながら、いつの間にかパンパンに張った乳房を出す。もうちょっと飲んでくれぇと思っても、すぐ寝てしまう我が子。大丈夫なのか?あのぉ〜、助産師さんに聞く。大丈夫か…よかった。
こんなにちっちゃくても爪は伸びる。どう切ればよいのやら。助産師さんに切っていただく。
思い返せば、入院中、分からないことは助産師さんに聞いていた。夜勤もあり、お疲れであろう。
にも関わらず、笑顔で応えてくださる助産師さんには感謝しかない。
人は、安心感をもたらせてくれる人に囲まれていれば、助けを求めやすい。この子の、そのひとりになろう。



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