触れるを考える⑥:あなたは虫様筋握り世界選手権に出たいのか?
写真は、「指一本で歩行を誘導する」練習の風景です。
先日、年間で契約頂いている法人研修で「上肢へのアプローチ」のご依頼があった際の触れ方の導入として、その場で思いついてやりました。
なぜ上肢のアプローチなのに歩行の誘導?と思うかもしれません。
歩行の誘導は、変化が分かりやすいからです。
上手く誘導できないと、ふらついたり、足がうまくでなかったりします。そして本人も歩きやすい、歩きにくい、時には歩き出すことすらできない…と誘導の良し悪しの判断がしやすいんですね。
上肢、特に健常者同士での練習だと上肢の動きの良し悪しってイメージしにくいんですよね。動けてしまうだけによほど無理な動きをしない限りは何となくできてしまいます。
だからこそ、誘導が上手くいっているかがお互いに判断しにくいんです。
また上肢の動きと歩行を比べたら、動きとしては歩行の方が大きいですよね。上肢や手指の動きの方が繊細なわけです。
なので、いきなり繊細な動きの誘導と感じ取りを必要とする上肢・手指ではなく、動きが大きく効果判定もしやすい歩行での誘導でその感触も掴む、ということを目的にしました。
つまり歩行誘導の練習も、実は上肢・手指のハンドリングの上達につながるトレーニングでもあるわけです。
あと指一本での練習にももちろん意味があります。
それは、
誘導に必要な最低限の刺激の強さを捉えることです。
ハンドリングの慣れてないと、どうしても強く、力づくで相手を動かそうとしていまいがちです。
セラピスト界隈ではハンドリングは虫様筋握りで、手のひら全体で触れるのが良い、みたいなホンマでっかな噂があるとかないとか。
もちろん、虫様筋握りだからこそのメリットもあります。
誰に言われたか、それを盲信してしまい、
虫様筋握り=良いハンドリング
虫様筋握りができない→ダメ
と考え、持ち方・触れ方ばかりを意識しすぎている人に出会います。
あなたがもし、
虫様筋握り世界選手権に出たい!
虫様筋握りチャンピオンになりたい
虫様筋握りアンバサダー(意味知らん)になりたい
虫様筋握りベストオブザイヤーになりたい
この際名前も「虫様筋握り」にしたい
くらい、虫様筋握りにこだわっているなら、それを否定しませんが、セラピストや介護職として、患者さんや利用者さんに触れる私たちの目的は、
相手にとって少しでも良い動きの機会を提供できるか?
だったりするわけで、虫様筋握りはそのための1要素でしかないわけです。
持ち方は良くても、動きの誘導が雑だったりすればせっかく良い持ち方ができても…となってしまうわけで。
触れ方や動きのサポート、こちらの立ち位置や声掛け、表情などトータルが相手に影響します。
まずは自分の出来るところから意識するだけでも、相手の反応は変わることもあります。
持ち方だけにこだわりすぎずに。
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