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焼肉部位解説⑦ 「いちぼ」ってどこの部位なんだ?ランプ周りの小割解説 輸出・インバウンドに役立つ英語中国語訳付き

腰の部分の肉なんだけど米国でサーロインと呼ばれる部位があるんだ 

食肉業界、焼肉業界の方々であれば、当然どの部位の肉が何と呼ばれるのかをご存知の方は多いとは思うが、英語での名称や中国語名や学名に至ってはプロであっても、ご存知で無い方も居られるのではないかと思う。そこで、このシリーズでは小分け部位(小割)の主要なものについて、それぞれを簡単に解説して行きたい。輸出や海外パッカーとの規格打ち合わせや、焼肉店、レストランなどでの海外観光客向けのメニュー説明などにご活用頂きたい。
 
注1.中国語の発音記号(拼音ピンイン:ローマ字)にある数字は四声を表している。
注2.スターマーク(*)がついている外国語の名称は、当該国に無い小分け部位であるため筆者が独自に翻訳し名称を記載した。
注3.米国産牛肉の名称の前に付く番号はNAMP規格コードと呼ばれ、ほぼ全ての米国産牛肉にはこの規格コードがついている。例えばヒレ肉の場合、189 Tenderloin(フルテンダーロイン), 189A Tenderloin(脂肪除去テンダーロイン), 190 Tenderloin(189Aからサイドマッスルを除去したテンダーロイン)といった具合である。

9 ランプ (部分肉名称)
【別名】 フルランプ、ランイチ、らむ
【英語】 Full rump, Top Sirloin(北米)D-rump(豪NZ)
【中国語】臀腰肉 (tun2yao1rou4)
【牛の部分】サーロインからモモにかけての腰の部分の肉である。
【特徴】肉質は部分によって異なるが総じて赤身の肉である。日本ではランプを大きく分けてラム、イチボ、シンタマの一部に分割できる。米国ではサーロインに続く筋肉である事からサーロインとしての位置づけであり、アメリカではトップサーロイン(らんいち)とボトムサーロイン(ヒウチ、カイノミなど)として比較的安価なステーキやローストビーフ用の便利な部位として一般に消費されている。オーストラリアではフルランプと呼ばれ、米国同様にステーキで消費される事も多い。しかしながら、日本ではモモとしての位置づけから、それほど人気のある部位ではなかったが、最近では小割部位が焼肉用として人気が出て来た。
【用途】ステーキ、ローストビーフ、焼肉

フルランプ断面図 (トップサーロイン・ボトムサーロイン、テンダーロイン)

【学名】
*トップサーロイン(ランプ)
3. Biceps femoris(イチボ:クーレット)
4. Gluteus medius(ラム芯:ランプ)= 3と4. (ランイチ:184トップサーロイン)
*ボトムサーロイン
1. Tensor fasciae latae(トモ三角:トライアングル)
2. Vastus lateralis(カメノコ) 6. Vastus medialis(マルカワ)
7. Rectus femoris(シンシン):2と6と7 (185B ボトムサーロインボールチップ )
*ロイン
5. Psoas major (ヒレ:テンダーロイン) 

写真:右がランプ、左の一部がカイノミ中央部分にトモ三角(トライチップ)がある。

ランプの小割解説

9-1  ラム芯
【別名】ランプ、トップサーロイン
【英語】 Top sirloin butt(北米)Roastbif (豪NZ)
【中国語】臀腰肉心(tun2yao1rou4xin1)、 臀腰眼(tun2yao1yan3)
【学名】 Gluteus medius
【牛の部分】 腰の部分の肉であるランイチからイチボやボトムサーロイン(トモ三角、カイノミ、ボールチップ)を取り外したランプの中心にある赤身肉。ランプのメインマッスル。
【特徴】肉質は、サシは少なめだが、きめが細かく柔らかい。
【用途】ステーキ、ローストビーフ、焼肉
 
 
9-2  イチボ
【別名】クーレット
【英語】 Top sirloin cap, Culotte(北米)Rump cap (豪NZ)
【中国語】臀腰肉盖 (tun2yao1rou3gai4)
【学名】Biceps femoris 
【牛の部分】 ランイチの外側のかぶり部分、尻に近い部分
【特徴】サシが多いが、肉質はややきめが粗く硬めである。
【用途】主に焼肉

写真: ランイチ (中心部がラム芯、右上がイチボ)


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