見出し画像

焼肉部位解説⑧ 「とも三角」ってモモそれともロース?輸出・インバウンドに役立つ英語中国語訳付き

サーロインから続くシンタマ、そして内もも、外モモの解説

10 シンタマ
【別名】ナックル
【英語】 Knuckle(北米 豪NZ)Thick flank (豪)
【中国語】膝圆(xi1yuan2)、和尚头(he2shang4tou2)、圆霖(yuan2lin2)
【牛の部分】 モモ肉はウチモモ、ソトモモ、シンタマに3分割される。この部位は牛のボトムサーロインにつづくモモ肉である。(ボトムサーロインは焼肉部位解説⑦参照)
【特徴】小割部位によって特徴が異なる。キメはやや粗くサシも入るがスジもあるため若干硬い。国産牛では焼肉用途で丁寧にスジを除去した小割した部位の人気が出て来たが、輸入牛ではスライスして炒めものなどに使われることが多い。台湾では炒め物にはよく使われる部位である。
【用途】焼肉、炒めもの

写真:しんたま(ナックル) (甘皮のある上部の肉塊がカメノコで、シンシンはその下にある。マルカワは大腿骨に近くまな板にのせると底面(Bottom)の肉塊であるため海外ではBottom Round Tipとも呼ばれている)
写真:しんたま断面

【学名】
1. Vastus lateralis (カメノコ:ラウンドチップ)
2. Rectus femoris(シンシン:ラウンドチップセンター)
3. Vastus medialis (マルカワ:ラウンドチップサイド)
4.Vastus intermedius (マルカワ)

・  シンタマの小割部位の名称

10-1 カメノコ
【別名】アウトサイドナックル
【英語】Round Tip, Sirloin Tip(北米 豪NZ)
【中国語】外膝圆 (wai4xi1yuan2)* 
【学名】vastus lateralis
【牛の部分】シンタマからシンシンとマルカワを分割して取れる筋肉。
【特徴】キメはやや粗くサシが少なくスジもあり若干硬いため、和牛など国産牛であればスジを取れば十分に焼肉に使えるが、輸入牛の場合には柔らか処理(テンダライザー処理)が必要となる場合がある。
【用途】焼肉、炒めもの

10-2 シンシン
【別名】マルシン
【英語】 Round Tip Center (北米) Knuckle main muscle(豪NZ)
【中国語】膝圆心(xi1yuan2xin1) *
【学名】 rectus femoris
【牛の部分】シンタマからマルカワとカメノコを分割した時の中心部分の筋肉。シンタマの芯であることからシンシンと呼ばれる。
【特徴】キメはやや粗くサシが少なく若干硬い。まわりのあま皮や中心部にある強いスジを除去する必要がある。
【用途】焼肉、炒めもの

写真:シンシン

10-3 マルカワ
【別名】サイドマッスル
【英語】 Round Tip Bottom, Round Tip Side(北米 豪NZ)
【中国語】膝圆边肉(xi1yuan2bian1rou4) *
【学名】 vastus medialis、vastus intermedius
【牛の部分】シンタマからシンシンとカメノコを分割して取れる筋肉。
【特徴】スジが多いため丁寧に取り除く必要がある。キメはやや粗くサシはやや多く若干硬いため、輸入牛の場合には柔らか処理(テンダライザー処理)が必要となる場合がある。
【用途】焼肉、炒めもの

ラウンド(もも)断面と名称

ラウンド断面

【学名】
*1と8 うちももの一部(おおもも)
1. Semimembranosus 8. Adductor
*2と3:そともも
2. Semitendinosus(しきんぼ:アイラウンド)
3. Biceps femoris(なかにく:フラット)
*4,5と7:しんたまの一部
4. Vastus lateralis(かめのこ:外側広筋) 
5. Vastus intermedius中間広筋 
7. Vastus medialis(まるかわ:内側広筋)

11 ウチモモ
【別名】ウチヒラ、トップラウンド、インサイドラウンド
【英語】 Top round(北米)Topside, Inside (豪NZ)
【中国語】臀肉(tun1rou4)
【牛の部分】 文字通り牛の内側のモモ肉
【特徴】赤身で柔らかく脂肪が少ないため人気が出てきた。トップラウンドの名前は、モモを食肉加工処理する時にまな板の上にのせるとウチモモがトップ(上)になる事からそう呼ばれている。豪州ではトップサイドから鼠径リンパ(小さいリンパ節)を除去したものがインサイドとなるが、あまり大きな違いはない。筆者が米国に駐在していた頃には豪州のトップサイドを輸入して米国の有名ビーフジャーキーメーカーに販売していたことがあった。
【用途】焼肉、ローストビーフ、ステーキ、シャブシャブ、ビーフジャーキーの原料


写真:うちもも

【学名】
1 semimembranosus.2adductor (おおもも:キャップオフトップサイド)
3 sratorius, pectineus, (こもも) 
4gracilis,(ヒラカワ)

11-1 キャップオフトップサイド
【別名】キャップオフトップラウンド、オオモモ
【英語】 Top round cap off(北米)Top side cap off (豪NZ)
【中国語】去盖臀肉(qu4gai4tun2rou4)
【牛の部分】キャップ(ヒラカワ)と小モモを外したウチモモの主要な筋肉(オオモモ)。
【特徴】キメはやや粗くサシが少ないが柔らかい。 回りのあま皮を除去したものをトップサイド100VLという。欧米では、ステーキ、ローストビーフやBBQの需要が高い。輸入牛肉においては小モモが付いている場合があるため規格の確認などの注意が必要である。
【用途】ローストビーフ、ステーキ、焼肉、ユッケ (筆者注100VLのVLとは見た目の赤身率(Visual Lean)であり、100VL はいわゆるグリムキとも呼ばれる)
 
11-2 ヒラカワ
【別名】ウチモモカブリ、トップサイドキャップ
【英語】 Top round cap(北米)Top side cap (豪NZ)
【中国語】臀肉盖(tun2rou4gai4)
【牛の部分】ウチモモのカブリ(キャップ)で平たい肉。
【特徴】キメはやや粗くサシが少なく若干硬い。キャップオフトップサイドを作る時の副産物である。最近までは、ほとんど使われず小モモと一緒にトリミングに回されていた。
【用途】牛丼、ローストビーフ、炒めもの
 
12 ソトモモ
【別名】ソトヒラ、ボトムラウンド、シルバーサイド、アウトサイド
【英語】 Bottom round, Gooseneck round(北米)Silverside, Outside (豪NZ)
【中国語】米龙 (mi3long2)
【牛の部分】 文字通り牛の外側のモモ肉
【特徴】よく動く筋肉であるためキメが粗く硬い。脂肪が少ない赤身肉である。豪州ではシルバーサイドからハバキ(スネ肉)を除去したものがアウトサイドと呼ばれる部位名となる。
【用途】薄切りローストビーフ、シチューなど


写真:そともも(アウトサイド)   右についているのがシキンボ(アイラウンド)左下の大きな肉塊がナカニク(アウトサイドフラット)

12-1 ナカニク
【別名】マクラ、アウトサイドフラット
【英語】 Outside flat(北米 豪NZ)
【中国語】大米龙(da4mi3long2)
【学名】biceps femoris
【牛の部分】 ソトモモからシキンボ(アイラウンド)とハバキ(ヒールミート)を外して得られる大きな筋肉である。
【特徴】よく動く筋肉のためキメは粗くサシが少なく硬い。スジも多いため薄切りにして使う事が多い。繊維の向きが場所によって異なるためカットする方向に注意が必要である。
【用途】薄切りローストビーフなど
 
12-2 シキンボ
【別名】アイラウンド
【英語】 Eye round(北米 豪NZ)
【中国語】小米龙(xiao3mi3long2)
【学名】semitendinosus
【牛の部分】 ソトモモからナカニク(フラット)とハバキ(ヒールミート)を外して得られる大きな丸い筒状の筋肉である。
【特徴】よく動く筋肉のためキメは粗くサシが少なく硬い。スジも多いが、形状が丸い筒状のため、欧米では薄切りローストビーフ用原料として人気がある。
【用途】薄切りローストビーフなど

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?