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コントラクトブリッジはデジタル化やオンライン化が進んでるゲームだよねって話

コントラクトブリッジといえば、トランプカードを使ったアナログゲーム…とお思いの方もいらっしゃるかと思います。しかし、ブリッジはデジタル環境でプレイされることの多いゲームでもあることをご存知でしょうか?

ブリッジソフトの世界大会がある

一般にコンピュータが広まった1990年代のコンピュータ黎明期から、数多くのブリッジソフトが開発されてきたようです。英語版Wikipediaの「Contract bridge」「Computer bridge」のページによれば、1997年には北アメリカ地域を束ねるブリッジ運営組織 American Contract Bridge League (ACBL)主催でブリッジソフトの世界大会「World Computer-Bridge Championship」が開かれるようになるほどでした(1999年より国際組織のWorld Bridge Federationも主催に加わる。以後、毎年開催されていましたが、2020年は中止)。
最強のゲームソフトを目指した研究開発は、チェスや将棋ばかりでなくブリッジでも行われているんですね。

ブリッジのオンラインサービス

さらに、そうした対コンピュータで遊ぶブリッジソフトばかりでなく、人間のプレイヤー同士で遊べるオンラインブリッジも早くからサービスが提供されていました。
最も古いオンラインブリッジとして知られているのはOKBridgeというサービスです。1990年に最初のサービスが提供されました。

ですが、今現在、最も多くの人たちに利用されているオンラインブリッジといえばBridge Base Online(通称:BBO)でしょう。元々1990年に創業したBridge Base社が2001年より開始したサービスでしたが、現在はブリッジのオンラインサービスを運営する52 ENTERTAINMENTのサービスとなっています。

BBOでは無料で遊べる一人用モードのゲームも用意されています(上記サイトのトップページ上の「Just Play Bridge」など)が、IDを取得することで、オンライン上のユーザーとブリッジをすることができます。
登録の仕方や他のユーザーとのゲームの始め方などが分からない方は、日本コントラクトブリッジ連盟さんのウェブサイトで公開されている「BBOガイド」のページを参照してください。当方が書いたBBO紹介記事はこちら↓

その他、比較的新しいサービスである「Trickster Bridge」については以下の記事でご紹介しておりますのでご参考まで。↓

デジタルはリアルの代替になるか?

このように、以前からブリッジ界隈にはコンピュータブリッジやオンラインサービスが普及していたわけですが、2020年は予期せぬステイホームの影響もあり、こうしたサービスが今まで以上に注目されることになりました。

国際大学スポーツ連盟によるスポーツの国際大会「2020 FISU World University Championships」のマインドスポーツ部門が昨年の10月にオンラインで開催されました。この動画は生中継のアーカイブなのと、チェスとブリッジの二元中継なので、それに留意してブリッジの試合部分を探していただきたいのですが、動画を見ると参加者たちはオンラインブリッジによるリモート参加になっています。

そして次の動画は2016年のWorld University Championshipの際のインタビュー動画です。競技の場面が少ない動画で恐縮ですが、この時と比較すると分かる通り、リアルで集まってカードを使ってプレイしていた大会から、先述のようなオンライン大会に様変わりしてしまったわけです。

(ちなみに、ブリッジを知らない方の中には「テーブルの上の衝立は何?」とお思いの方もいらっしゃると思うので説明すると、これはブリッジスクリーンと呼ばれるもので、競技会の時などに使用されるものです。競技会ではお互いのパートナーに対し、ビディングカード以外の情報伝達が出来ないよう、衝立越しにゲームをしています。)

こういうご時世なので、自宅からでもブリッジができることは良いことではあるのですが、「競技」としてブリッジをしようとすると問題がないわけではありません。オンライン試合で一番懸念されることはチート(イカサマ)行為です。誰の監視もない中でもゲームに参加できるオンラインブリッジでは、審判や係員のいる会場でのゲームよりもズルがしやすいことは当然です。実際に、昨年もチート行為の疑惑があったようで、BBOも「不正行為は許さない」と声明を出しています。

(※Olivier Comteさんは52 EntertainmentのCEO)

そういう意味では、何でもかんでもオンラインにすればいいとは言えないのかもしれません。難しいですねー。

一方で、「リアルでゲームするんだけどデジタル化」している例もあります。こちらの動画はEuropean Bridge Leagueさんが作成したものですが、競技会のテーブルにタブレットが置かれていますね。↓

カードを使わず、タブレット上でオンラインブリッジに接続してブリッジをプレイするテストが行われています。この動画のタイトルは「The Future」で2018年に公開されているのですが、激動の2020年を経た今になってみると、この動画の内容はもはや「未来」ではなく「現在」の様子を写しているようです。

その後の2019年6th World Youth Open Championshipsでもテストプレイもされているようで。↓

これらの動画の中でもコメントされていますが、タブレットを使用することでカードや用具の準備の手間が省ける、というメリットは大きいものがあるでしょう。感染症対策的な面でも、タブレットの使用によって用具を通したプレイヤー・大会スタッフ間の感染リスクの軽減ができるのではないでしょうか。(※物を通した感染リスクよりエアロゾルや他者の飛沫を通した感染の方がリスクが高い、という見解もあるようですので、室内の換気やマスク着用はもちろん重要です。それらを対策した上で、ということで。)

他にも最新のテクノロジーを利用しているという点で若い人に関心を持ってもらうポイントにもなるでしょうか。あとは、会場に集合できない人にリモート参加してもらう対応が取れるようになるとか。
まぁ、最初の動画の中で「これもいいけど、やっぱりカードを使うのも…」というコメントもありますけどね。

そんなわけで、ブリッジをデジタル環境でプレイする、というテーマでお送りしました。こうしてみると、ブリッジはコンピュータやインターネットと親和性の高いコンテンツでもあるんですね。コンピュータやデジタルデバイスがお好きな方はブリッジのアプリやオンラインサービスでも遊んでみてくださいーではー。

サポートはコントラクトブリッジに関する記事執筆のための調査費用、コーヒー代として活用させていただきますー。