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コントラクトブリッジのビディングボックスを使ってみよう!という話

コントラクトブリッジでは、他のゲームにはない特徴的なゲームグッズである「ビディングボックス(Bidding Box)」を使用することがあります。これは、13枚の手札を出し合う「プレイ」の前に行う「オークション」の際に使用する道具です。

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ボックスの中には「ビディングカード」が入っており、オークションの際にはこれを提示することで、「コール」を行います。

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ボックスに入っている状態を見ると、コールに使うカードには「タブ」が付いています。使用する際は自分がコールしたいカードのタブを掴んで取り出します。

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この時、自分がコールしたいカードだけを取り出すのではなく、コールするカードよりもランクの低いカードも全て一緒に取り出します。こうすることで「一度コールされたビッドよりも低いランクのビッドはできない」というルールを遵守することができます。

一度コールしたカードはそのまま場に出しておき、次のコールは場に出たカードの上に重ねます。また、「パス」や「ダブル」などのコールのカードは1枚ずつ出します。

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なお、競技会におけるビディングボックスの正しい使い方は、日本コントラクトブリッジ連盟さんのウェブサイトで公開されている「競技会の手続き」というpdfをご覧ください。(各種情報>プレイヤーのページからダウンロードできます。)

ビディングボックスを利用するメリットは「声を出さずにオークションを行える」ということが挙げられます。カードでコールを示すことによって、ビッドの内容以外の余計な情報を伝える余地がなくなります。それによって不正行為をしづらくすることができます。

競技会ではすっかりお馴染みの用具となっているビディングボックスですが、国際大会で使用されるようになったのは英語のWikipedia情報によると1970年の世界選手権ストックホルム大会からだということです。意外と最近なんですね。

現在のビディングボックスの形を作ったのは、Gösta Nordensonさんというスウェーデンのブリッジプレイヤーだそうです。ブリッジプレイヤーのためのコミュニティサイト「Bridge Winners」で2010年に公開された「The Bidding Box」という記事があります。こちらはGösta Nordensonさんの取材記事となっています。

この記事によれば、1962年のある日、Gösta Nordensonさんがスウェーデンの新聞を読んでいたところ、中国で開催されたブリッジの極東選手権大会の記事が掲載されており、中国人プレイヤーがオークションの内容を紙に書いてゲームをしていることを知ります。これをきっかけに、ビディングボックスのアイデアを形にし、特許を取得したということです。そして1970年の世界選手権で使用されたことからスウェーデン国内にとどまらず世界中にビディングボックスが広まり、現在では、世界中のブリッジプレイヤーが当たり前に使用するブリッジ用具となったということだそうです。

(ちなみに、ビディングボックスの特許は後に、スウェーデンのブリッジ用具メーカーJannersten Förlagに売却されたということです。)

コントラクトブリッジのルールが確立されたのはアメリカでしたが、中国で声を出さないオークションの仕方が広まって、スウェーデン人がそれをヒントにビディング用のカードを開発したというストーリーを知り、ブリッジはワールドワイドなゲームだなぁと改めて思いました。

また、カードを用いることで、使用言語が異なる人や発話に困難を抱える人ともオークションを支障なく行えるのでブリッジのバリアフリーにも一役買っている用具と思います。さらに、感染症流行中のこのご時世に「声を出さずに」オークションを行えることは、飛沫を出すリスクをなくしてくれるという意味でも有用ですね。「ユニバーサルデザイン」の観点でも優れた用具なのではと思います。

皆様もブリッジのルールを覚えてオークションにも慣れてきたら、ビディングボックスを使ってブリッジを遊んでみてはいかがでしょうか?ではー。

<過去記事>

いろんなメーカーのビディングボックスを探してみたという記事です↑

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