見出し画像

おすすめのコントラクトブリッジの入門書『ブリッジ-プレイ&オークションの基本』

前に、「初心者が一人で本を読んでブリッジ覚えるのは大変だと思う」というnoteを書いたのですが、そもそも「コントラクトブリッジ」に関する本ってほとんど出版されていません。地元の図書館にはいくつかブリッジの本があったので取り寄せてみたのですが、10年20年前の古い本がいくつかあるばかり。
近年の本といえば、前に書いたnoteでも取り上げているエスアイビー・アクセス社のシリーズ(2013〜17年、リンク先の一番下「一般書籍」を参照)がありますが、日本コントラクトブリッジ連盟さんが監修している本格的な内容なので、「ブリッジって名前は聞いたことあるけど、どんなゲームなのかなぁ」っていうレベルの人にはチンプンカンプン…というところ。
なので、古い本にはなってしまいますが、「本当の初心者」でも分かる一冊をご紹介したいと思います。自分の先生も「この本を何度も読んで勉強した」と言っていた本なのでおすすめです。

『ブリッジ-プレイ&オークションの基本』はどんな本か

今回紹介する『ブリッジ-プレイ&オークションの基本』は1996年に河出書房新社から出版されましたが現在は絶版です。図書館で借りるか、古書店で探すかとなりますのでご了承ください。

この本の良いところは「基本を丁寧に教える」ことに注力されていることです。具体的な内容は「本書の特長」がカバーにまとめられているので、これに沿って説明しようと思います。↓

画像3

カードの扱い方・配り方などの基本から、プレイ・オークションの基礎を、体験教室的に解説。超初心者でもすぐにゲームが可能。

この本が初心者に分かりやすいのは、「体験教室的に解説」とあるように、実際に4人でテーブルを囲んでプレイする場面を想定して、基本の基本から説明されているところです。だから、ブリッジのルールだけでなく「カードの扱い方・配り方」というマナーの部分まで丁寧に説明されています。

画像6

↑プレイがはじまるまでがめっちゃ長い。

ブリッジは頭を使う知的なゲームでありながら、いろいろな人とペアになってプレイする社交のゲームでもあるわけで、ゲームのセオリーうんぬんよりもまずはお作法が大事でもあります。席の決め方とかカードの配り方とか、いろいろあるんですよね。ゲームがヘタクソでも、とりあえずマナーがなっていれば、上級者は怒ったりしません(マナーのある人なら…)。

画像1

↑この本ではカードの混ぜ方として「リフルシャッフル」と「ヒンズーシャッフル」を用いると書いてありますが、自分が習ったときは「オーバーハンドシャッフル」で、って言われたんですよねー。なので、ルールやマナーの細かいところは自分が参加するゲームのホスト次第、ってところでもありますが、大まかな流れはこの本を読んでちゃんと心得ておきましょう。

※参考↓:シャッフルについて解説しているウェブサイトと動画


マナーに続いて、いよいよブリッジの「プレイ・オークションの基礎」です。

ブリッジはどうしても専門用語が多くて、そこで辛くなってしまう人もいるかもしれないのですが、この本では専門用語を使いながらも極力簡単な言葉づかいで説明されています。一文の長さも短くて、シンプルな表現が徹底されています。

画像6

↑文章も易しいし、図もあるのですぐ分かる。

とりあえず、何も考えなくても「基礎編」に書いてある通りにプレイすれば「超初心者でもすぐにゲームが可能」です。

ゲームの基礎につづいてプレイ・オークションの実戦、得点のつけかたを段階的に詳述。

この本はミニブリッジではなくコントラクトブリッジを学ぶ本として書かれているので、オークションも得点計算もちゃんと基礎編で説明されています。コントラクトブリッジを構成するゲームの要素の中でもオークションの概念は他のゲームにはなかなか見られないギミックです。「ブリッジはオークションがあるから面白いんじゃん」というプレイヤーも多いことだと思います。「ミニブリッジじゃダメなんだよ」という本格派の方には、そういう意味でもこの本おすすめなんですよねー。

画像7

まぁ「コントラクト」があるからコントラクトブリッジなんですけどね。

画像2

↑自分は得点計算、苦手です…


とりあえず、ここまで来れば「初級プレイヤー」と言っていいレベルに到達しているはずです。

しかし、基礎編の後には「応用編」もあり、上級プレイヤーにレベルアップするためのセオリーもバッチリ解説されています。ただ何となくプレイをしているだけでは物足りなくなってきたら、応用編を読み込んでみると一気に実力がつくことでしょう。専門用語も多くはなりますが、他の書籍よりもずっとやわらかい表現で書かれているので読みやすいはず。

画像5

この本には「ブリッジをまったく知らない人たちに教える」ことへのこだわりがつまっている

そんなわけで、初心者にもわかりやすくブリッジが説明されている本書ですが、何でこんなにわかりやすいのだろうと思って、著者の方に注目してみました。

「日本コントラクトブリッジ連盟」前事務局長の著者が、長年にわたる体験教室など初心者教育の経験をもとに、ブリッジの基礎から実戦までを豊富な図解でわかりやすく説く決定版入門書。(カバーより)

著者は檜川哲次さんという方だそうで、本書内の著者紹介によれば、1962年の日本コントラクトブリッジ連盟関西支部設立に参画し、その後、事務局長を長く務められた方なのだとか。自分は(当然ながら)全く存じ上げない方なのでネットを検索したところ、2007年に檜川さんが講演会をされたときの記録がヒットしました。↓

講演録ではあるのですが、これを読んでしまうと「自分がこんなnote書かなくてもブリッジの魅力、ほぼほぼまとまってるじゃん」ってなった内容なので、興味ある方は読んで欲しいです。
そして、この講演録の中で一番光っていたフレーズがこちら↓

私のブリッジに対する理念は「上手い人たちを育てるより、一緒にプレイして楽しいプレイヤーを育てること。」

「何でこの本の著者はブリッジを知らない人でも理解できるような書き方ができるんだろう?」と思っていたのですが、この一文を読んで、よく分かりました。「こういう理念を持ったお方が書いた本だから、この本分かりやすいんだなぁ」ということが。(事務局長を長年務められたような方なので、すごい方なのだろうということは想像に難くありませんが…)
上手くなるためにセオリーを研究することもブリッジの楽しみ方のひとつではあるのですが、それだけではないのがブリッジというゲームというか文化なのですよねーとしみじみ思いました。

図書館や古書店でお手に取る機会があれば是非読んで欲しい一冊です。できれば再販して欲しいですけどねーではー。

サポートはコントラクトブリッジに関する記事執筆のための調査費用、コーヒー代として活用させていただきますー。