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古い橋とのランデブー

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土木学会の歴史的鋼橋検索などに載っている古い橋などを訪れた記事のマガジンです
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新旧の黒野田橋を拝見

新旧の黒野田橋を拝見

 国道の車線数が増えたり、道路線形を改良した場合でも、もともとの橋が撤去されずに残っている場合があります。
 国道20号の黒野田橋も、甲州街道から国道20号への時代の流れの中で、まだ地元に活用されながら、その姿をとどめています。
 1935年に竣工とのことですので、おおよそ90歳の橋ですね。

さて、お隣には国道20号の黒野田橋。

 国道20号の黒野田橋は一般的な単純鈑桁です。
 すでに耐震補強

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富士見沢橋 昭和6年竣工、架け替えへ

富士見沢橋 昭和6年竣工、架け替えへ

 戦前の橋梁設計の教科書を見ると、橋脚の形状がバナー画像のように、円錐的に上に伸び、桁下に横繋ぎの梁があるタイプが載っていました。富士見沢橋の橋脚も、古い教科書で見かけたような橋脚の形状であり、調べてみると昭和6年(1931年)の竣工でした。
 あと少しで100歳を迎える橋ですが、架け替えの話もありそうですね。
 4連の単純桁であり、H鋼を使っているようです。

 中間橋脚へ視線を移すと、リベット

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長野県 小市橋 トラス橋の橋門構になぜ耳が?

長野県 小市橋 トラス橋の橋門構になぜ耳が?

 GoogleMapで長野県のトラス橋を見たときに、橋門構が外側に取り付けられている事例を見かけたことがありました。耐震補強の一環なのか?と思っていましたが、耐震補強されていない段階の橋でも見かけるように思いまして、気になっていました。
 訪問してみようとGoogleMapで確認したところ、あれ?と思う痕跡がありました。
 で、訪れたのは小市橋。長野県長野市のトラス橋(2連単純下路トラス)です。

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森林鉄道の橋 名残を少しだけ辿り 北恵那森林鉄道

森林鉄道の橋 名残を少しだけ辿り 北恵那森林鉄道

 橋の情報をたどっていくと、森林鉄道の橋のブログなどを拝見することがあります。木材そのものの輸送に使われていたものだと思いますが、個人的にはなじみがなかったので、情報として新鮮でした。
 たまたま拝見した映画「男はつらいよ」の第44作では、木曽川を船でさかのぼるシーンで森林鉄道の橋が画面に登場します。

 また、ロケ地を探訪されている方のブログにも載っていました。

 ということで、道すがら拝見し

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岐阜県 東雲橋 ボウストリングトラスを拝見

岐阜県 東雲橋 ボウストリングトラスを拝見

 ボウストリングトラスという形式名は、最近知りました。
 ボウ+ストリング+トラスという単語の組合せで、弓状になっていることを意味しているようです。
 アーチ橋でしょ?トラス橋なの?と頭の中の整理がつくまでには時間がかかりました。今でもサッと見分けがつかないと思います。

 さて、東雲橋は木曽川の大井ダムの近くにあります。今となっては隣に新しい東雲橋が架けられていて、このボウストリングトラスの東雲

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山梨県 万栄橋~S57台風後の復旧での新旧トラスが並ぶ(国道469号 山梨県南部町)

山梨県 万栄橋~S57台風後の復旧での新旧トラスが並ぶ(国道469号 山梨県南部町)

 山梨県南部町で富士川の対岸をつないでいるのが万栄橋です。一つ上流の橋が富栄橋は富河村と栄村、こちらは万沢村と栄村をつなぐことが由来で万栄橋ということのようです。富士川は甲府盆地内ではおそらく川幅が500mくらいあるのですが、盆地南部から静岡に抜けるあたりまでは狭くなっているようです。さらに支流から流れ込んでいるので、S57年の台風での水害は大きかったのでしょう。
 左岸側から見ると、最初に鈑桁(

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群馬県 上越橋~世代交代した新旧の橋が並ぶ

群馬県 上越橋~世代交代した新旧の橋が並ぶ

 関越道を通り、新潟との道を往復する機会がありました。
 時間に余裕があったので、帰路は湯沢ICから国道17号を南下して、群馬に戻るルートにしました。GoogleMapを見ていると「クロソイド曲線記念碑」という一般の方には馴染みがなさそうな、いや建設関係の方には親しみのある名前があったからです。

 線形計算をすると必ず登場するクロソイド曲線ですが、まさか石碑でお目にかかるとは考えてもいなかったの

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長野県 三峰川橋~ランガー桁の耐震補強を拝見(長野県伊那市 国道152号)

長野県 三峰川橋~ランガー桁の耐震補強を拝見(長野県伊那市 国道152号)

 国道152号は分断国道としても知られており、いわゆる酷道でもあります。酷いかどうかは別として、1車線の山道をしばらく走れるので、新緑や紅葉の時期は景色が楽しめます。
 三峰川橋(みぶがわばし)は伊那市(旧長谷村)にあり、橋の名前の通り、三峰川を渡っています。この橋のたもとから南アルプススーパー林道が東へと伸びています。形式は下路式トラスドランガーです。

 リベット接合の部材添接部もあり、どのよ

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山梨県 富士橋~伊勢湾台風での流出と復旧~新旧構造の違い、そして撤去を待つ姿(山梨県県道4号 市川三郷富士川線)

山梨県 富士橋~伊勢湾台風での流出と復旧~新旧構造の違い、そして撤去を待つ姿(山梨県県道4号 市川三郷富士川線)

 山梨県を流れる富士川は甲府盆地の南部から左岸・右岸とも山に挟まれ、静岡県へと流れていきます。逆三角形の形をした甲府盆地の下の頂点あたりにあるのが富士橋です。土木学会の歴史的鋼橋検索にも情報があります。
 架け替えとのことで、すでに新しい橋が通行できるようになっていて、旧橋の橋面関係は撤去されていました。

 3連の下路式単純曲弦ワーレントラス橋で昭和25年(1950年)に竣工とのこと。リベット接

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雑感 トラス・アーチ橋の支点 ピン結合とピンの位置

雑感 トラス・アーチ橋の支点 ピン結合とピンの位置


 古いトラス橋・アーチ橋についてブログを書くたびに、その支承部分のみをピックアップして、このページの内容は増えていきます。トラス橋・アーチ橋の支点の格点となる部分と支承の位置関係について、ただただ写真を載せて、キャプション以外はほとんど書かないという変なページです。
 並べてみると、時代が進とともに部材の結合点はピンではなくなり、そしてヒンジ部(回転部)は支承になりますね。

出島橋 (1890

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長野県 小渋橋~国登録有形文化財のコンクリート橋を拝見(長野県大鹿村)

長野県 小渋橋~国登録有形文化財のコンクリート橋を拝見(長野県大鹿村)

 半の沢橋~四徳大橋をご紹介しましたが、長野県道59号のその先には大鹿村があります。大鹿村は映画「大鹿村騒動記」の舞台となった村であり、また山間の美しい村として知られています。

 小渋橋は村役場や道の駅に近い小渋川に架かる橋で、国登録有形文化財になっています。鉄筋コンクリート造の3連ローゼアーチ橋です。文化財のデータベースには次のように解説されています。登録基準は「国土の歴史的景観に寄与している

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長野県 トレッスル橋脚の2橋(木曽町 巴橋、大鹿村 北向橋)+α

長野県 トレッスル橋脚の2橋(木曽町 巴橋、大鹿村 北向橋)+α


巴橋(長野県木曽町) トレッスル橋脚を知ったのは餘部鉄橋をテレビで見たときでした。ネットで検索してみても、なかなか見に行くことはできないと思いつつ、道路橋でのトレッスル橋脚の橋を拝見しました。情報源のブログはリンク先のものです。

 最初に見えたのは、橋のたもとにある「14トン」の標識でした。山間の道路で見かける、古いながらも地元になじんでいる橋の雰囲気を感じます。

 駐車場が隣接されていて、

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長野県 鬼淵鉄橋〜国産最古のトラス橋 を拝見(県道上松南木曽線 長野県上松町)

長野県 鬼淵鉄橋〜国産最古のトラス橋 を拝見(県道上松南木曽線 長野県上松町)

 木曽福島あたりから国道19号を南下していくと、上松町に入ります。そしてお目当ての鬼淵鉄橋を見学しました。
 大正3年竣工の日本の国産最古のトラス橋で森林鉄道の橋とのこと。

https://www.rinya.maff.go.jp/chubu/press/kikaku/pdf/kiso_rintetsu.pdf

 新しい車道橋が通っていて、鬼淵鉄橋は歩道橋になっているのかな?と思いつつ近づいて

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