見出し画像

LOG4 たまにはひとりで旅をしよう マレーシア・クアラルンプール

マレーシアの首都クアラルンプールに到着して翌日、私はホテル最寄駅から電車に乗って”バトゥ洞窟”に向かった。クアラルンプールから電車で40分ほどで行ける観光地だ。
今回は誰かと一緒ではなくひとりで、最小限の荷物を持って気楽に外へ出た。

日本からクアラルンプールまでは飛行時間約7時間半。客層は訪日外国人が中心で他は日本人のビジネス出張や駐在員などが多い。
中心部の大きなショッピングセンターにはイオンなども入っており、日本の食材が手軽に手に入る。もちろん割高であるが、マレーシアに住む日本人にとっては食材が楽に手に入るということは安心だろう。東南アジアにしては治安が良く、インフラも整っていて物価も安いマレーシアは住むのに実は人気なのだ。その上親日で、人も優しい。

人口のほとんどがイスラム教だが、今回向かうバトゥ洞窟はヒンドゥー教の神スカンダを祭る寺院で、大きな洞窟と建造物があるらしい。
実際はそんな予備知識もなく、ただクアラルンプールからアクセスが良いということで選んだのだけれど。

ホテルからは一度乗り換えが必要らしく、降りる場所を間違えないよう慎重に車内の電光板をみた。乗り換え駅で降りて、バトゥ洞窟までの切符を再度買った。
一定期間の滞在だと、都度切符を買わなきゃいけないから大変だ。日本で外国人が買い方に困っていたら、声をかけてあげよう。

改札での出会い

改札のところでふと、東南アジア系の女の子と目があった。
目があったとき、くりっとした大きな目と人懐こい笑顔に、なぜか他人ではない親近感を覚えた。改札を出たところで彼女は少し立ち止まってくれ、そこから私たちは言葉をかわし、お互い1人で行き先も同じということが分かった。

彼女の名前はSevia(シヴィア)。インドネシア出身で、休暇にふらっと旅行に来たらしい。20代前半といっていたが、学生といっても通じるような可愛らしい容姿だった。インターナショナル校に通っていたようで英語も流暢だった。
会ったばかりの異国の子と、しかも異国で行動を共にするなんて、初めてだ。

独りではなくなったおかげで、あっとい間に目的地についた。
洞窟にいくには272段もの階段を登る必要がある。成都の楽山大仏といい、この洞窟といい、壮大で歴史的なものは、簡単に拝ませてくれないらしい。

ひいひい言いながら洞窟に到着した。中は広く、洞窟だが上を見上げるとぽっかりと穴があいていて綺麗な空が見えた。私たちはお互いを写真で撮ったり、一緒に撮ったり、旅を楽しんだ。
ひとしきり満喫したあと、このあとはどこへ行くのと聞かれた。特に私は予定がなかったので、なにも決めてないよと言った。

「モスクに行くから一緒にどう?」と誘われ、もちろん私は付いていくことにした。モスクとはイスラム教の礼拝堂で、玉ねぎ頭の屋根の建物と言われたら想像がつくだろうか。
クアラルンプールにはブルーモスクやピンクモスクなど、イスラム教中心の国家だから身近にモスクが点在する。

礼拝堂は土足厳禁で女性は肌を露出してはいけない。入り口で靴を脱ぎ、無料でローブが借りられた。
Seviaは慣れた手つきでローブを身に纏った。インドネシア人のほとんどがイスラム教であるというからさすがに似合っていたし、板に着いていた。不慣れな私の手つきをみて手伝ってくれ、ローブを着てモスク内を見学した。
中は東南アジア特有の雑然とした感じがなく、広々とし整っていた。大理石の床でひんやりとしていて、風が吹き抜け、涼しさがあった。

大学で国際文化を専攻していたが、正直机上の勉強では宗教がどのようなものなのかあまり想像がつかなくてどこか私には関係のない世界のことだった。こんな風に体験してみると、イスラム教の人は毎日こんな風に礼拝しているんだなと改めて実感することができた。文化は言葉で説明されるより、体感した方が圧倒的に早い。

日本は単一国家だし、深く宗教のことを考える機会はあまりない。けれど互いを理解したり共生するために、私たちはもっと宗教や文化のことを知ってもいいのかもしれない。
Seviaは私と楽しみながらも、時折り真剣な表情にもなり、それがとても印象的だった。

その後ペトロナスツインタワーという世界一の高さを誇るツインタワーを見に行って、私たちは別れを告げた。

心持ち次第で出会いは変わる

一人旅は、こういう出会いがあるからおもしろい。誰かと一緒に行動していたらこんな出会いはないだろうし、モスクに行くこともできなかった。

旅先での出会いは、一生の思い出に直結する。それがたとえ異国の人で、言葉も文化も背景も異なっても”旅”という共通体験で、繋がることができる。
Seviaはインドネシアには四季がないから、いつか日本の桜を見に行きたいと言っていた。そのときは必ず案内してあげよう。

きっと人は同じ経験を通じて、絆が深まっていくのだろう。そう考えるとべつに旅でなくても、同じ会社で一緒にプロジェクトを進めるの人たち、同じ街で子供を育てる人たち、身近に出会うすべての人と仲を深める可能性は、少なからず日常の中にもあるということだ。

いい出会いが欲しいと思ったら自分がわくわくする場所に身を置けばいい
自分の心持ち次第で、視点や気づき、出会いさえも変わりえる。

ちなみにSeviaとは後日ジャカルタ(インドネシア)線で乗務したとき、再会を果たした。


<本日のお土産>


Vincci(ヴィンチ)の靴

「マレーシアで靴?」と思うかもしれないが、マレーシアは実は靴天国。マレーシアに多く店舗をもつこの店の靴はとにかく安くて可愛く、実用性も高いので現地人にも人気。CAも通勤用のフラットパンプスなどよく買う。

オールドタウンホワイトコーヒー
マレーシアを代表するコーヒーブランド、オールドタウンホワイトコーヒー。マレーシア以外にも15か国以上で販売する人気ブランド。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?