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『天皇の料理番』

趣味はなんですか?と聞かれるといつも困る。


これをしてて好きだな、思うことはたぶんあるけど、それを語れるほど没頭したりハマりこんでいるものがない。


だが一応わたしにも、たまにこれをやらないとストレスが発散できない。と思うものがある。


それはドラマの一気観である。


わたしはアマゾンプライムに加入している。つい最近みられるドラマや映画が一新されて、ずっと見たかったドラマがラインナップされていたのを知り、思わず一気に観てしまった。


先日観たのは『天皇の料理番』である。ずっと観たかったがなかなか観られず、アマゾンプライムに入ったのをみたときは思わず声をあげてしまった。


わたしはもともと森下佳子さんの脚本が大好きで、それなのに『天皇の料理番』を観たことのない自分が恥ずかしかった。


アマゾンプライムで観られると知ったとき、今観始めたら止まらなくなってしまうだろう、どうしよう、今みていいものか…と悩んだが、気付いたらもうハイボールを用意して観る準備を整えていた。



一話から全話、どの話も惹き込まれた。どうして森下さんの描く登場人物は、全員あんなに愛おしくなってしまうのだろうか。もちろん、監督、役者、スタッフの方全員で作り上げるのがドラマである。しかし、森下さんの脚本にでてくる人たちはいつも儚くてしなやかでたくましい。そういう人たちを見ると、ああ人間ってこうだよな、人としてこうありたいな、と思う。


そしてこの話は実話だ。明治から昭和にかけて生き抜いた前代未聞の料理人。何度もドラマ化され有名な話ではあると思うが、彼が見つけた人生をかけてやり遂げたい仕事を通して人間になっていく姿には、いつだれが観ても胸を打たれるのだろう。どんなに大きな仕事を任されても、謙虚に真剣にまごころを込めて立ち向かっていく姿には本当に涙が止まらなかった。


何をするにもその先には人の笑顔、喜びがつながっている。そのために全身全霊をかける。何があっても歯を食いしばる。向き合ってみる。


宇佐美シェフが言っていた「食材はその日によって状態は変わるが、まごごろを込めるのはいつも100%にできる」


この言葉がとても心に残った。まごころを込めて、この言葉を聞くのはいつぶりだろうか。今のわたしにとても必要な言葉だったように思う。


観終えてすぐに友達に勧めた。やみくもに人に勧めるのは好きじゃないが、これは後悔しないから、本当に良いから、と熱くなってしまった。


本当に観てくれた友達と感想を言い合うと、わたしとはまた違うところに感動したと聞いた。それも嬉しい。ああ、そうか、そこも本当に良かったよね!いろいろ言い合ってまたこの作品の感じ方が変わった。感動が増したというのが正しいかもしれない。


思い出しながら書くと、興奮してうまくまとめられない。ただその興奮を文章におさめられていたら嬉しい。


はあ、次は何を観ようか。




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