日本画からほとばしるロマン

鳥獣戯画展に行って来ました。
美術品って、やっぱり生で見ると写真では伝わらない技術力や美しさを感じられて、つくられた当時の事を色々知りたくなってきますね。

今回の展示会は動物が描かれているものが多数展示してあり、その毛並みの1本1本が丁寧に再現されているものもあれば、墨の濃淡でふわふわ感を表現しているものもありました。

またそれらをうまく使い分けたり、逆にどちらも細かく使用されていたり、はたまた周りに薄く墨を塗ることで動物の白さを際立たせたり。本当に驚くほどの技量の高さが伺える作品ばかりでした。

その筆使いや空白のとり方、墨の濃淡、さらには掛け軸の布地や織り込まれた模様、屏風の金具に至るまで、その全てに対して、製作者に突撃インタビューをしてみたい気持ちにはなりませんか?

下書きとかいう概念はあるのか?間違えたら書き直したりするのか?この蛍光ほどに見える鮮やかな緑はどうやって作ったのか?なぜうさぎと蛙と猿なのか…

なんでこの絵にこの布地をチョイスしたのか?金具の模様や形はなぜこれなのか?

どんな気持ちでこれを描こうと思ったのか、どんな格好で、どんな道具で、どんな空間で…

インタビューしてオウンドメディアでも立ち上げたいところですが、残念ながらご存命の製作者はいません。
でも、そこを空想することにロマンを感じます。きっと、犬を愛らしく描いた人の表情はゆるっゆるだろうし、植物を美しいと感じ描く人の手つきは優しいだろうし、構図を考え、それを完成し終えた時や思い通りの色が作れた時は「やば…我天才じゃん…」とか一人で言っていたかもしれません。

そして、後々見返してもうちょっと空白開けたら良かったかな…とか考えたり、逆に満足いきすぎてニヤニヤしたりするのでしょうか。

こんな事を思うと、やけに親近感が湧いてきます。それこそ、終盤に展示されていた江戸時代の作品はどれも今でも馴染み深いユーモアなものばかりでした。

にらめっこをしている人々や、向かい合って耳同士をなんか紐のようなもので繋いで、引っ張り合っているもの。今でいう、ストッキング相撲やゴムパッチンに近しいものを感じました。

いちばん衝撃だったのが、おならの強さを競い合っている巻物です。現実ではありえない威力のおならを笑い合う人々。さながら『でんじゃらすじーさん』のようで、一気に江戸時代が親しみ深く感じられました。

当時の子供たちはこれを、コロコロコミックスのように貸し借りとか一緒に寝っ転がって読んだりとかしていたのでしょうか。

『美術館』『美術品』と聞くとなんとなく格式高く小難しいイメージがありましたが、この展示会を通して時代は違えど動物は可愛いし植物は美しいし、面白いと感じるものも意外と変わらないんだなぁと、ぐっと歴史物との距離感が縮まった気がします。


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