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麦が食べたい、異形が食べたい

先週、秋葉原で新しいうどん屋がオープンしましたので行ってみました。
その名はがっつりうどん、周りのレポを見るに武蔵野うどんっぽいごわごわした麺だそうです。

屋台を模したプレハブ小屋と仮設資材で組まれた門が、ビルと高速道路に囲まれた風景の中でよく目立ちます。
休憩時間に秋葉原へさくっと移動したら、既に行列がずらっと。
見た感じ観光客が多いようです。
果たして休憩時間内にありつけるか――そんな不安を抱きながらなんとか注文口まで進みました。


武蔵野うどんだったら肉汁にするか、それとも気分的にさくっとした天ぷらか?
少し迷った末、後者の大盛を選びました。
水を飲みつつ数分間待って、ニューフェイスのうどんが出来上がり!


おお、確かにこれは武蔵野うどんっぽい。
これで500gと、硬い麺類が好きな自分としては幸せたっぷりなひと時が始まりました。
箸で一本、加齢で凝り固まった筋肉の如き麺を持ち上げました。
地粉を使っているだけあって、健康的な小麦色をしているのも個人的に素晴らしい。
自分の知っている武蔵野うどんよりコシが柔らか目ですが、この素朴な味わいがたまりません。
「ああ、自分は麦を食べているんだ」と強く実感します。

天ぷらも揚げたてで、見立て通りのサクサク感がたまりません。
濃い目のつゆが麺や天ぷらと絡み、お互いの良さを引き立てています。

大盛りの一杯はあっという間に完食しました。

がっつりうどん、お値段は並盛で最低300円からと結構お得で、トッピングが豊富です。
素朴な味が好きな人には是非お勧めします。

さて――

なぜ無骨な麺に惹かれるのか?

自分の趣向を振り返ると麺類に練り物、ブルーハワイのかき氷という、自然からかけ離れている形に惹かれがちです。
それは未知なる物へ抱く好奇心から生まれているのでは、と考えています。

一方で、米は色付き、玄米がいいとか、先述の通りコシが強めの地粉麺で「麦を食べているんだ」と宣っており、野生への憧れも抱いている部分もあります。
二つの趣向は一見矛盾しているように見えますが、よくよく考えると根本は同じではないかと思いました。
「自然の味」はグルタミン酸のうま味やスクロースの甘味といった代表的なものだけでなく、オリゴペプチドや他の代謝物など、いくつもの要素が絡み合って形作られます。
食感も脂質や組織構造で変わったりしますし、細かいバランスを見ると未知の領域がたくさんあります。
知らないものに惹かれるのだから、そこも共通していると考えれば自分でも面白く感じられます。

そんな想いに共感する読者はいるでしょうか?

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