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最近の記事

Von Frey試験法のあれこれ

In vivoでの痛みの研究においては痛覚や鎮痛剤の効果を評価するためにホットプレート、Von Frey、化学刺激法など様々な手法があります。今回はVon Frey試験法についてご紹介します。 Von Frey試験法とはMaximilian von Freyが考案した痛覚測定法で、げっ歯類にフィラメントを押し当てて、痛覚の検知を評価する試験です。 現在、太さの異なる複数のフィラメントを用いる簡易式試験と、電子式のVon frey試験法の二種があり、それぞれの試験手順は異なりま

    • 動物用ベンチレーターの紹介

      今回は動物手術に用いられるベンチレーターについて書いていきます。 ここでは医療用よりも、実験用の機器として使われるベンチレーターの基礎知識や機能を中心にご紹介していきますので、ご了承ください。 ●人工呼吸器の構造 人工呼吸器は動物の自発的呼吸が困難な場合や、吸入麻酔の継続投与などに用いられます。 例えば後でも触れるHugo Sachsの人工呼吸器だと、シリンダー内に溝付きのピストンが入っており、回転運動とピストン運動の組み合わせで空気の送り込みを行っています。 ●ベンチ

      • メーカー紹介:Ugo Basile

        先週、弊社取り扱いメーカーの一つであるUgo Basile社(以下Ugo社)の社員が来日され、商品のご紹介をしていただきました。 Ugo社は動物実験機器に特化したイタリアのメーカーで、1960年代にマウス・ラット用のローターロッドを開発したのが始まりです。 現在はローターロッド以外にもトレッドミルや痛覚測定装置、ベンチレーター等幅広い商品を提供しております。 さて、今回のUgo社のご紹介から、小回りが利いて革新を求め続ける企業という印象を受けました。 Ugo社では3Dプリン

        • 酒と米とタンパク質

          秋は新米の季節とともに新酒――ひやおろしの季節でもあります。 ひやおろしは火入れした酒を貯蔵し、常温(冷や)で卸すことから名付けられたそうです。 こんな暑い9月だったのに何がひやおろしだよ、って突っ込みもあるかもですが、名前だけでも涼しい気分になれればなんて思ったりします。 というわけで、一か月ぶりに日本酒の話をしようと思います。 これまでは日本語の文献に触れてきましたが、海の外からはどんな情報が見えるかと思い、下記レビューに触れます。 ざっと読んだ限りでは酒米における基礎

        Von Frey試験法のあれこれ

          麦が食べたい、異形が食べたい

          先週、秋葉原で新しいうどん屋がオープンしましたので行ってみました。 その名はがっつりうどん、周りのレポを見るに武蔵野うどんっぽいごわごわした麺だそうです。 屋台を模したプレハブ小屋と仮設資材で組まれた門が、ビルと高速道路に囲まれた風景の中でよく目立ちます。 休憩時間に秋葉原へさくっと移動したら、既に行列がずらっと。 見た感じ観光客が多いようです。 果たして休憩時間内にありつけるか――そんな不安を抱きながらなんとか注文口まで進みました。 武蔵野うどんだったら肉汁にするか、そ

          麦が食べたい、異形が食べたい

          腰痛の話

          私事になりますが、先週腰が痛くなりました。 オフィスチェアーのリクライニングが止まらず、ずっと我慢して使っていましたが、ヘルニアっぽい症状に加え、ぎっくり腰の手前まで来てしまいました。 さすがにこれはまずいと思い、リクライニングのないスタッキングチェアーに変えてキーボードを打っています。 おかげさまで今は痛みが落ち着いています。 それがきっかけで、腰痛の研究はどんなものがあるのか気になりました。 痛み発生のため、どちらかというとヒトを対象とした研究が多いイメージですが、in

          最近話題の研究:カフェインと甘味の摂取による睡眠リズムの変化

          ふと下記の研究が話題になったので取り上げてみます。 私はオフィスで毎日ゼロカロリーのコーラを1.5リットル飲んでいましたが、今週になってからゼロカロリーのサイダーへ切り替えました。 そんなときに下記報告があり、睡眠で悩んでいた自分としては切り替えて良かったなんて思っています。 甘味カフェイン飲水によるマウス体内時計と活動リズムの変化〜甘味カフェイン飲料の摂り過ぎで昼夜逆転?!〜 | 広島大学 (hiroshima-u.ac.jp) 論文:Sweetened caffein

          最近話題の研究:カフェインと甘味の摂取による睡眠リズムの変化

          体力医学会大会に参加しました

          9月2-4日に佐賀で体力医学会大会が開催され、弊社は協賛会社として企業展示を行いました。 私は販売促進のため、3-4日に参加しました。 当社員として学会参加は二度目、研修以外の出張は初めてです。 私用では一度日帰りで行ったことがあります。 「世界がSAGAを見ているとき、佐賀は世界を見ていた」というような、ニーチェみたいな格言や葉隠の紹介が印象に残っていました。 後でGoogle mapを見ると伝統的な施設がいくつか見られ、知らない魅力がまだまだあるような、そんな街です。

          体力医学会大会に参加しました

          酒の香りに虫眼鏡を

          今回は代謝と香気成分の話に焦点を当てます。 一般的に、酵母はアルコール発酵と同時に香気成分を生成します。 日本酒における代表的な香気成分はリンゴ様の香りを有するカプロン酸エチルと、バナナ様の香りのする酢酸イソアミルますが、これらはどのように生成されるでしょうか? カプロン酸エチルの生成 糖質の代謝はどのように行われるの? | 看護roo![カンゴルー] (kango-roo.com) 上記は生物の基本的な糖の代謝経路になりますが、クエン酸回路において、アセチルCoAが環

          水質と酒の味わい

          酒の話の続きです。 ただ日本酒を好きだと語る雑談|バイオリサーチセンター (note.com) 「灘の男酒、伏見の女酒」という言葉があります。これは兵庫県の灘で作られる酒が力強いのに対し、京都伏見の酒は口当たり柔らかであることを表しています。 灘の酒が「男酒」と呼ばれるのはなぜ?男酒・女酒の由来とは - 酒みづき (sawanotsuru.co.jp) 灘では「宮水」という江戸時代末期に発見された水源が醸造に使われており、リンやカルシウム、カリウム等のミネラルが豊富な

          ただ日本酒を好きだと語る雑談

          筆者は酒――特に日本酒が好きなのです。 大学時代からビールやカクテルは飲んでいたものの、酒を飲むなら日本酒が第一選択。飲み会があるとき、周りがビールを選んでいても日本酒を選ぶ、見方を変えればマイペースな人間でもあります。 夏は日本酒を飲みたくなくなるなんて意見があっても日本酒一択、それくらいの日本酒党が私です。 エアコンが効いた涼しい部屋で、お猪口の蛇の目に酒を張る。 色鮮やかな刺身を辛口淡麗の酒で流す。 淡泊なかまぼこへ吟醸酒で香りを添える。 キムチやチャンジャには敢えて

          ただ日本酒を好きだと語る雑談

          ヒト小腸モデルの開発

          少し前にちょっと気になったニュースがあったので、共有いたします。 まずは下記報告について紹介します: 間質流を用いたヒトiPS/ES細胞由来小腸モデルの開発|ニュース|ニュース・イベント|CiRA(サイラ) | 京都大学 iPS細胞研究所 (kyoto-u.ac.jp) https://www.cell.com/cell-stem-cell/fulltext/S1934-5909(24)00220-0 端的に言うと、間質流を再現させながらヒトiPS/ES細胞を分化誘導させ

          ヒト小腸モデルの開発

          LabChartの使い方メモ②

          梅雨が明けたと思ったら毎日夕立が続く日々……洗濯物を干すタイミングが難しい状況です。 最近はお客様へのデモに向けて、社内の様々なデモ機に触れて勉強しております。 さて、今回LabChartの扱い方について触れていきたいと思います。 〇Event Managerエクステンションの活用法:一定の閾値を超えた際の刺激発信 LabChartには拡張機能として「モジュール」と「エクステンション」が存在しますが、そのうち「エクステンション」は無料でインストールすることが可能です。Ev

          LabChartの使い方メモ②

          LabChartの使い方メモ①

          梅雨が明けたのかと思いきやまたじめじめした日が来たりと、今年の気候は夏になりきるのがある意味奥ゆかしい感じです。冷製パスタが食べたくなってきます。 入社して二か月が経とうとする中、段々と社内外ともに解像度が上がりました。動物への手術に立ち会い、経験値の低い自分がやれるのだろうかと気にしつつ、研究や商品についての知識を日々積み重ねております。 さて、今回はLabChartについて自分の学習記録を残したいと思います。 〇LabChartスペクトラム解析 入社のご挨拶|バイオリ

          LabChartの使い方メモ①

          入社のご挨拶

          読者の皆様、はじめまして。 私はこの6月に販売促進部として入社した者です。 もともとは食品やサプリメントの業界に勤めていましたが、ご縁あってバイオリサーチセンター(以下BRC)へ入社しました。 大学の研究分野が分子生物学で、これまでの職種が工場現場、購買、学術サポートとバラバラなキャリアを積んできており、正直言うとBRCのビジネスとは大分程遠い関係にあります。 今日までの一か月間、本社での研修や、お客様のもとへの訪問など濃密な経験を受けておりますが、ここで私の所感について書き

          電気泳動を利用する組織抗体染色法

          電気泳動法を利用する免疫染色 eFLASH eFLASH法は、電気泳動を活用した組織免疫染色方法です。この電気泳動を活用する事例として、CLARITY組織透明化技術があります。CLARITY法では、SDSの電気泳動を組織全体に施すことによって、組織内の脱脂を強力に行なうことができます。これは陰イオン性界面活性剤であるSDSが脂質の周りに吸着し、ミセルを形成すると、電気泳動によってプラス方向に移動する仕組みを利用しています。 eFLASH法では、この電気泳動で大分子である抗

          電気泳動を利用する組織抗体染色法