アナログ派の愉しみ/本◎『ニューヨーク・タイムズが報じた100人の死亡記事』(その1)

ここに選ばれた
日本人の2名はだれ?


わたしにとって朝のトイレ・タイムは貴重な読書時間なのだが、そこでの本の選択がなかなか難しい。どうしたって限られた時間内のことだから、文章がえんえんと連なっていくのはふさわしくない。毎回読み切れるだけの分量で完結し、かつ、しばらくの期間を楽しめるように連作形式となっているのが望ましい。そうした条件のもとで最近大きな満足を与えてくれたのが、ウィリアム・マクドナルド編『ニューヨーク・タイムズが報じた100人の死亡記事』(河出書房新社 2020年)だ。

 
これは、『ニューヨーク・タイムズ』が1851年の創刊以来、1万本以上におよぶ死亡記事のうち322本をピックアップした『BOOK OF THE DEAD』から、さらに日本人読者向けに100本をセレクトしたもの。当然ながら人物ごとに長短はあるものの、平均して単行本2段組みで5ページほどだからトイレ・タイムにはまことに適切な分量で、毎朝のひととき、あたかもタイム・スリップしたような気分で近現代史のメルクマールたちの足跡に触れるのは、なかなかエキサイティングな経験だった。

 
ここに並んだ名前は、古くは、エイブラハム・リンカーン(1865年4月没)、チャールズ・ディケンズ(1870年6月没)、リヒャルト・ワーグナー(1883年2月没)、カール・マルクス(1883年3月没)、オットー・フォン・ビスマルク(1898年7月没)から、近くは、エリザベス・テイラー(2011年3月没)、ウサマ・ビン・ラディン(2011年5月没)、スティーヴ・ジョブズ(2011年10月没)、ニール・アームストロング(2012年8月没)、ネルソン・マンデラ(2013年12月没)、モハメド・アリ(2016年6月没)まで。

 
そして、日本人は2名が選ばれている(オリジナルの322本においても同様)。さて、その人物とは?

 
【ここでいったん記事を切りますので、よろしければ答えを考えてみてください】


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