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現行の資本主義体制の改善点を模索する①

 我々は資本主義の体制の下で生活を営んでいる。しかし、「資本主義とはなんぞや?」と問われれば、説明にはそれなりに時間が必要なのかもしれない。私が思うに、これについてはまず「資本」のことを述べなければいけない。資本とはマルクス経済学の定義では、「自己増殖する価値の運動体」と呼ばれる。簡単な言葉でいうなら、「生産するための元手」のことだ。農家なら、資本金、農地、農業用の設備や機械、道具、消耗品、農薬、肥料、種苗、収穫した農作物などが該当する。
 「資本の循環」という言葉もある。これも極力わかりやすく説明すると、事業に必要なものを購入する形態(貨幣資本)から始まり、事業体が売るための商品を作る過程の形態(生産資本)へと移行し、そしてできた商品を売るときの形態(商品資本)になる。売った商品はまたお金になるので、文字通り「資本の循環」である。この一周回るのが「資本の回転」とされている。

 資本主義体制では、基本的に各々が資本を自由に回転できる。もちろんなんでも自由にできるわけではない。それなりのルールは設けられている。しかし、リーマンショックをはじめとする資本主義の失敗事例は確かにある。
 こうした問題が発生する根源的な理由は、判断を誤った株主の暴走に対する歯止めが、まともに機能してないか、もしくは歯止め自体がないからだ。私は別に大株主=悪者といいたいわけではない(とはいえマネーゲームに走る投機家などは危険だと思うが)。

 だが、立憲主義という概念ができたように、人間は万能の存在ではない。この世の株主や経営者も例外ではない。自由貿易や規制緩和を絶対正義のように振りかざし、自分たちに都合が良くない既得権益を、一方的に悪者扱いする経済自由主義者たちは、おそらくは「立ち止まる」ということを知らない。
 だからどんなに彼らの考え方に合わない現象(トランプ政権がTPPから撤退したことや、イギリスのEU離脱)が起きても、それらを支持する人たちの気持ちに寄り添うことなど一切ない。むしろ完全に見下している。まさしく噴飯ものだが、それにどうやって対処していくのかも、今後の大きな課題である。