ファントム・オブ・パラダイス
2004年頃書いた映画感想文。
『ファントム・オブ・パラダイス』
ブライアン・デ・パルマ監督作品。
ロック版「オペラ座の怪人」と賞されるこの映画は、悪魔に魂を売った音楽プロデューサーに「曲」と「顔」と「声」を奪われた作曲家の、醜くて美しくて儚い、そして哀しい復讐の物語です。
B級カルト映画の最高峰とか言われてますが、確かにカルトです。ロックミュージカルの演出方法とかね。ジューシーフルーツとビーフの存在とかね。正直どうでもいいような脚本とかね。
さえないおたく系作曲家のウィンスローがプレス機で顔をつぶされ、仮面をかぶってファントムになるまでの話はあまりにも稚拙でありますが、それゆえ非常に高いテンションで話が進みます。ファントムになったウィンスローは相変わらずさえないけれども、ヴィジュアル的には非常にクール。ベルセルクのグリフィスもここからキてるよなあ。
僕がビリビリと衝撃を感じたのは、悪魔に魂を売ったことがわかるシーンです。子供向けの漫画みたいな内容だっていうのに、何故かすごさを感じてしまいました。自ら命を絶つことができないウィンスロー・・・純粋すぎる彼にとって救いようの無いシーンです。
EDテーマの歌詞、これがまた救いが無くって。やっと悲しい物語が終わったって言うのに、なんでまた悲しくならなくちゃいけないのってくらい。
もしこの作品を日本で映画化するなら、スワンの役はつんくだろうなあ。5年前なら小室ね。
あともう少しのセリフと時間があれば、僕自身が見て納得な作品でした。万人に奨められる映画ではありませんが、観る人によっては間違いなく傑作でしょう。
公開から今年で30年。その美しさは色褪せません。
2024年追記。
2004年にこの感想文を書いたときは、まさかつんくから声が奪われるとは思ってませんでした。小室哲哉が逮捕されるとは思ってませんでした。木根尚登がエアギターだったとは思ってませんでした。
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