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えんがわ日和〜お墓参り〜

施設にお世話になってる祖母に会いに行った。
少し日が空いてしまったのでドキドキしながら対面したら、
私のことを誰だかわからなくなっていた。「お嫁ちゃん」という私のあだ名への反応もなかった。
ちょっと狼狽えていたら数秒後、目が「誰だかわかった」という目になった。
私はほっとしたので、そのまま祖母を「おじいちゃんのお墓参りに行こう」と誘った。今日はそのつもりで父と一緒に来たのだ。

祖母を助手席に乗せて出発進行!
祖母の反応は薄いけど、色んな景色を見て少しでも刺激になっていれば良いなと願う。

お寺に着いたらお墓とお墓の間をくねくね進む。
祖母はすぐヘトヘトになりいつ足を止めるかわからない。
一歩が小さいので全然進まず、果てしない巨大迷路を進んでいるように感じる。

祖母が足を止めないように大好きな盆踊りの音楽をかけて歩く。祖母、父、私のお祭り行列が巨大迷路を練り歩く。

やっとお墓に着いたところで
「おばあちゃん、お墓に着いたよ。」
「さぁ帰ろう。」。
まだお花も変えてないよ。目の前の石がお墓なのかどうかもわかってない気がする。。。
「やっとの思いで来たのだから」と一生懸命目を向けさせるが、腰が曲がった祖母の視界には石は入ってない。

「おじいちゃんに会えてよかったね。」とか
「お花綺麗だね。」とか言って誤魔化していたが
「いつまでここにいるのよ。」と言い始め
いよいよなだめられなくなったので精神安定剤の「飴」を投入!
(我が家ではエネルギーが切れた時にいつも飴を渡していて、舐めると一瞬正気に戻る。)

飴を舐め始めた祖母がぼそっと一言。
「お墓の掃除ご苦労様」
。。。飴の効果絶大!!

その一言が聞けただけで連れてきた甲斐があったよ。
あなたが私を誰だかわからなくなっても、また一緒にここに来ようね。

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