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Happy Mother's Day💐

ず〜っと昔のエピソード。

私は全お小遣いの1000円を握りしめて意気揚々と商店街へ向かっていた。
まだ、消費税なんて無い時代。
一輪100円なら10本の赤いカーネションが買える計算だ。素敵な花束を作ってもらって、母にプレゼントした時に母が「わ〜、キレイねえ〜。」と喜ぶ笑顔を想像して鼻歌を歌いながら、ご機嫌で坂を下って行った。

お花屋さんの前に来た時、鼻歌が止まった。赤いカーネーションのバケツに差してある一本350円の値札。花束の映像がガラガラと崩れ、どうしよう、どうしよう、と自分の心の声しか聞こえてこなかった。

呆然としている私にお花屋さんのお姉さんが「お母さんにカーネーション買いに来たの?」と声をかけてくれた。

そうなの、花束あげたかったの、でも1〜2本は花束じゃないの。花束あげてお母さんを喜ばせたかったの。と言う代わりに涙が滲んできた。

泣きそうな私と手に持っている1000円札を見て、お姉さんが「これなら5本買えますよ。」と妥協案を提示してくれたのは造花のカーネーション。花の部分はそれっぽいが茎の部分がプラスチックで少し安っぽい。納得はいかなかったが、母の日は今日しか無いのだ。背に腹は変えられない。

行きに想像していた透明なセロファンにリボンのついた豪華な花束は、帰り道では紙に包まれただけの造花5本という中途半端な花束になった。

家に帰って「お母さん、これ。」と渡した途端、とうとう我慢していた涙がポロリと溢れてしまった。泣いている私に困惑する母。

もっと沢山買いたかったの〜、本物あげたかったの〜、でも高くて買えなかったの〜、と堰を切ったように泣き出す私。「どうもありがとう。造花でも嬉しい。これ水あげなくても枯れないから、ず〜っと飾っておこうね。」と母。

言葉通り、今でもホームの部屋に造花のカーネーションは飾られている。

そんな昔のエピソードを大好きなLA観光Youtuberさん、Yutaちゃんの動画を見ながら思い出した。

世界中で頑張るお母さんたちへ。
Happy Mother's Day💐

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