五十嵐貴久の突然ですがnote始めてみました

・そもそもnoteとは何なのか、私はよくわかっていないのですが、この度河出文庫から「交渉人・遠野麻衣子」が6月4日に発売の運びとなったため、以下ちょっといろいろ書いておこうかと思います。
・五十嵐貴久が「リカ」でデビューしたのは2002年1月で、第2作を新潮社から出すことになり、書いたのが「交渉人」でした。
・当時たまたま見ていた「アンビリーバボー」と「世界まる見え」で(番組は違ったかもしれませんが)、ほぼ同時に《交渉人》を取り上げていて、面白いなぁと思ったのがきっかけでした。
・あの頃私には作家の自覚がなく(実は今もそうだ)、そして《交渉人》の資料もほとんどなく、今ほどネットも便利ではなく、ないない尽くしで書き始めた記憶があります。
・紆余曲折あって、「交渉人」はその3年後に幻冬舎文庫から発売されるわけですが、それが2005年頃でした。
・これは河出文庫版「交渉人・遠野麻衣子」(改題しました)の後書きを読んでいただきたいのですが、作家には2010年問題がある、と常々私は思っていました。単純に言えばその頃からスマホが一般的になったために起きた問題です。
・携帯電話(以下ガラケー)とスマホは概念自体違い、同レベルで語れないものであります。
・そして《現代の警察小説》を書くに当たっては、登場する人物がスマホを使ってないとちょっとおかしなことになります。昔気質の老刑事が頑なにガラケーしか使わないというキャラ設定はありですが、それ以外だとやや痛い人になってしまいます。
・私は作家の友人がいないので(そもそもリアル友人もいないのですが)よくわかりませんが、2010年頃以前に書いた警察小説が一気に古くなるというか、そういう現象が起きたのではないかと思ってます。
・この辺、2010年以前にデビューした作家は辛いのですよ。私の「交渉人」でも、登場人物がガラケーのアンテナを伸ばしたり縮めたり、フリッパと呼ばれる蓋を開けたり(ガラケーとはそーゆーものなのですよ)してますが、もはや石器時代に近い文化です。
・松本清張的な、あるいは江戸川乱歩的な、あるいはもっときちんとした作家なら、それは古典で、黒電話を使っていても構わないのですが、五十嵐貴久レベルだといかにも古臭くなってしまう。非常に悲しいことですが、事実でもあります。
・これ、何とかならないか、と2015年ぐらいから考えるようになりまして、完全に改稿して、現代でも通用する「交渉人」にしたいと魂の叫びを上げ続けていると、河出書房新社さんからお声がかかり、全面的に手を入れ、タイトルも変えて出すことになったわけです。
・「交渉人」単行本は他の五十嵐貴久小説と同じくまったく売れなかったのですが、五十嵐貴久史上最も映像化申し込みが殺到した小説でもありました。
・出版社、そして直接私に連絡があったり、トータル20件ほどだったと思います。自慢ではなく、これが私を勘違いさせ、今も自らを苦しめているわけですが、それはまた別の機会に書きます。
・実際、「交渉人」はWOWOWとテレビ朝日で2度ドラマ化され(WOWOW版はたぶん今、Amazonプライム・ビデオで視聴できるんじゃないか?)、幻冬舎文庫版「交渉人」はちょびっと売れました。
・ついでですが、現在五十嵐貴久小説の映像化はすべて出版社に窓口を移してますので、「交渉人」に限らず映画会社、テレビ局、制作会社の皆さま、どんどんお声掛けください。
・そんな経緯もあって、読まれた方もいらっしゃるかと思いますが、何しろ今回はメチャメチャ手を入れ、ストーリーも変え、人物のバックボーンから何から、大幅に変更を加えております。
・時代設定も現代に変えております。交渉人(SIT)の役割も時代の変化と共に変わってまして、その辺りもすべて取り入れてます。
・なので、まったくの新作とお考えください。読んだ方も未読の方も楽しめるかと思います。思いたい。思わせてほしい。
・例によって五十嵐貴久の小説ですから、ほとんどの本屋さんに置かれてません。来週6月4日発売なのだが、言い切っちゃうねボクは。
・ですので、今から本屋さんで予約した方がいいと思います。
・それにしてもアーリー五十嵐貴久の文章のヘタなことヘタなこと。今でもうまくありませんが、直すに当たり読み返したわけですが、こんな小説を世に出しちゃイカンよ、とツッコミつつ、半年以上かけて直しましたので、ぜひぜひお読み下さい。
・「交渉人・遠野麻衣子」シリーズに関しては、また書きたいと思います。皆さまよろしくお願いします。
・それにしてもnoteってこれでいいのか?よくわからない五十嵐貴久でした。

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