どこに立っているのか
「ねぇ、何を見ているの?」
誰かが問いかけている。
「見えないものを見たいんだ」
どこかで聞いたかのようなセリフを言ってしまった。
信じてきたものが瓦解して、足元が常に揺れている感覚。
あの頃からずっと、自分にだけ地震がきているかのような、そんな気持ちの悪さがいつまでたっても消えない。
「いつまで信じているの?」
「もうなくなったことはわかっているよ」
「でも、まだ信じてしまっているんでしょう?」
―――――あぁ、うるさいなぁ。
わかっているよそんなこと。
街中の喧騒も、店内