囚人のジレンマ

囚人のジレンマは、ゲーム理論の一例であり、2人以上の参加者が相互に選択を行う場面で現れる現象です。このジレンマはしばしば囚人のパラドックスとも呼ばれます。以下に、囚人のパラドックスの基本的な概念と背後にあるアイデアを簡単に説明します。

囚人のパラドックスは、2人の囚人（AとBとします）が共謀して犯罪を犯し、逮捕された場合を考えます。警察は証拠不十分で本格的な告発ができないとし、それぞれの囚人に取引を持ちかけます。

取引の内容は次の2つの選択肢です。
1. AもBも沈黙する（証拠不十分で釈放）
2. どちらかが相手を告発し、告発者は軽い罰、告発された方は重い罰を受ける

この状況で、囚人AとBはそれぞれ自己利益を最大化することを考えます。しかし、このパラドックスの重要な点は、協力（沈黙する）と裏切り（告発する）のバランスをどう取るかです。

もしAとBが互いに協力すれば（沈黙すれば）、証拠不十分で共に釈放されるため、最も良い結果となります。しかし、片方が相手を告発すれば、告発者は軽い罰を受けて釈放される一方、告発された方は重い罰を受けることになります。ここでのジレンマは、相手が協力して沈黙すると仮定した場合、自分が告発すれば軽い罰を受けることができるため、自己利益を追求するという選択肢が生まれることです。

このジレンマにより、両者が裏切りを選択することが多くなり、結果として双方が最適な選択をしていない状況が生まれることがあります。囚人のパラドックスは、個人の合理的な選択が全体の最適解を生み出さないことを示す一例として、社会科学や経済学などの分野で研究されています。