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七十二候に並走して。【寒露】菊花開く

溶けるような夏が過ぎ、喜び勇んで家の窓を開け放って過ごしていましたが、あっという間に入る風が身体に染みる冷たさになってしまいました。

日本の四季をこまやかに感じるために、七十二の候に合わせて暦を学び俳句を詠む企画です。本日は寒露の次候“菊花開く”。

(七十二候)菊花開く きっかひらく
10/13〜10/17頃
菊の花が開き始める頃。

菊は薬草として日本へ奈良時代に伝わったそうです。奈良時代とは西暦710〜794年の時代で、西暦が3桁の頃から日本にあるとは驚きです。

普段noteに使う写真は今まで自分で撮影してきたものを使っているのですが、菊の写真は見つかりませんでした。菊は普段身近にないし、あっても菊を撮ろうとしなかったのかもしれません。

菊は少し怖いイメージがあります。仏花の印象が先に立ち、お墓やお葬式、仏壇とセットで思い起こされるのが原因かもしれません。細長い花びら一枚一枚が妙にくっきりしているというか、愛でるには存在感がありすぎる……。

私の祖父母は早逝で、私がまだ幼稚園や小学生の頃に相次いで亡くなってしまいました。今以上に別れが理解できず、辛く、怖く、その思い出と共に菊があるのかもしれません。
結婚して、今は配偶者の祖父母と過ごす機会が生まれました。そんな時間を送っているうちに考えるようになったのは、今祖父母と会えたら、私は何を話すのだろうということ。ぐるぐる人生を迷走してきたこれまで、打ち込みたいことを掴んだ今、ほんのりと夢見るこれから。ごく身近な家族には言えないことでも、祖父母になら。お酒を飲みながら語らえることがたくさんあるし、あの頃とは違う捉え方で別れを告げることもできる気がします。

菊枕会えるは祖父母かあの人か

摘んだ菊の花びらを乾燥させて詰め物にして作る枕を“菊枕”と呼ぶそうです。菊の香りに包まれて眠りにつけるその枕は、夢の中で恋する人に出会えるとされ、昔は女性から男性に贈られたのだとか。
菊にそんなロマンチックな効用があるなんて!私にとっては現世の想い人ではなく、違う世と夢がつながるような心持ちがします。

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