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待つことは、愛

まあ、こんな曲でも聴きながら、読んでくださいな。

今年の5月に松本に旅行に行って以来、家族3人でのお出かけがまったく出来ていない。

でも、最近になってようやく息子の体調が少しづつだけど、回復してきていて、近所を散歩するくらいは出来るようになってきたから、実は妻も私も次こそは!と虎視眈々と悲願の家族旅行を実現すべく息子の様子を伺っていた。

つい先週末も、息子がずっと行きたいと言っていた江ノ島水族館になんとか連れて行けないかと思っていて、そして、土曜日の夜は一足早い、いや二足くらい早い、カルタやら坊主めくりを楽しんでいる彼の様子を見て、これはもしかしたら、と淡い期待に胸を膨らませていた。

でも、寝る直前に、やはり気持ちが悪くなって、日曜の朝もなかなか布団から出られないでいた。

しかし、僕と妻は、どんなに遅くなっても今日こそは行くぞ!と腹を決めていた。

僕も江ノ島に一泊して、月曜日は現地から会社に向かうつもりにしていたほどだし。

でも、結局、11時前に目覚めた息子は明らかに具合が悪そうで、昨日の元気や意気込みはどこへやら、か細い声で

「やっぱり気持ち悪くて出かけるの無理だわ。」

と呟いていた。

でも、にゃんこ大戦争とかしながら彼が徐々に生気を取り戻し始めた13時過ぎに、僕は、ここぞとばかりに、取って置きのあの一言を息子に投げかけたのだった。

「ロマンスカーであのカチカチのアイス食べようぜ〜。」

そう、息子は新幹線やロマンスカーで食べられるあのカチカチに凍ったアイスクリームが大好きなのだ。

そしたら、まさに効果てきめん、彼はとたんに目を輝かし始めて、

「うん、食べたい!行こう!」

って言ってくれたんだ。

少し買い物がある妻が先に行った後、二人で勇気を出して玄関のドアを開けて、駅を目指す。

しかし、家を出て数分も経たずに、息子は脇腹を抑えて苦しみ始めた。急に刺すような痛みを感じたとのこと。とりあえず歩けなくなった彼を抱きかかえて、駅に向かうことにした。

途中で妻と合流して、彼女と交代交代で彼をなんとか駅まで連れて行こうと思ったけど、あまりにも辛そうな息子の表情を見て、残念だけど、今回は勇気ある撤退をすることに決めた。

そして、妻と息子は元来た道を戻って、最近、息子が鴨の餌やりにはまっている近所の大学の池へ、僕はいったん荷物を家に置いてから、後で二人と合流することにした。

家へ引き返す道すがら、確かに

「ああ、今回も駄目だったか…。」

と少し落ち込みはしたけど、それもほんの一瞬で、次の瞬間には、

「よし!来週またチャレンジしよう。そして、来週が無理ならまた再来週頑張ればいい。」

と僕の気持ちは完全に切り替わっていた。

そして、元来、とてもせっかちなはずの僕なのに、この件に限っては、焦らずに待つ姿勢を維持できてるのは何故だろうかとふと思ったのだけど、答えはすぐに出た。

それは僕が彼のことを愛しているからに決まってるだろう。

だから、いつまでも待てるんだ。

そう、待つことは、愛。

そして、仕事に対しても、対人関係に対しても、こんなふうに愛を持って待つことが出来たら、これまでほつれていた糸もほぐれるのかもしれない、なんて、そんな希望にも似た感情が芽生えてきて、急に心がポカポカ温かくなってきたのだった。

念願の家族旅行を断念したこの日、でも、なんだかんだ言いながら、とてもかけがえのない時間を過ごすことが出来たのも事実である。例えば、こんな具合にね。

大学の池のつがいの鴨
息子が4日かけて餌付けしたおかけで、すっかり懐いていた。友達ができたよ〜と嬉しそうな彼


木漏れ日がキラキラ輝く晩秋の昼下り
ベンチに横たわって青空を見上げる
元気をチャージした息子は近所のコミュニティスペースで、カバンに絵を描くイベントにまで参加できた
すっかり疲れたので、最後はコメダで懐かしのクリームソーダを、って、おまえが食うんか〜い!

おしまいける

そして、

どんまいける・J・ふぉっくす


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