一之瀬紗綾

一之瀬紗綾

短編小説「蝉」

夏休みが終わるまで約一週間、僕には悩み事があった、それは——— 「和希ー！夏休みの宿題終わったのー！？」 「ううん、まだー」 「あと一週間しかないでしょ！また去年みたいにお母さんやってって言われても、知らないからね！」 そう、もうすぐ夏休みが終わるのに、未だ夏休みの宿題が終わっていなかったのだ。 今年は友達と一緒に海へ行ったりバーベキューに行ったりと忙しかったので、宿題に手を付ける暇がなかったのだ。 夜にやりなさいとお母さんに怒られたが、一日中遊んでいたら疲れてすぐに寝て

一之瀬紗綾

    • ショートショート「トイレの花子さん」

      あなたはトイレの花子さんについてご存じだろうか。 トイレの花子さんは、学校の七不思議としても有名である。 ３階の女子トイレの３番目の個室の扉を３回ノックし、「花子さん、遊びましょ」と声をかけると「はあい」と声が返ってくるというのがメジャーな花子さんだと思われる。 地域によってはトイレの場所が違ったり、男子トイレ版の太郎くんがいたりと様々だ。 僕は今、トイレの花子さんが出ると噂の学校に来ている。 動画サイトで心霊スポットを巡る肝試し系の動画を投稿していて、最近チャンネル登録者

      一之瀬紗綾

      • ショートショート「自殺」

        ●●高校の昼休み、生徒と教師はパニックに陥っていた。 「来ないで！これ以上近寄ったら落ちるわよ！」 一人の女子生徒が屋上から飛び降りようとしていた。 屋上には高さ4m程のフェンスが周囲に聳え立っていたが、老朽化が進み、一部穴が空いていて、簡単にフェンスの外へ出られるようになっている。 小さな隙間だが、その生徒は小柄だったため、外に出られたのだろう。 「早まっちゃ駄目よ、内海さん！」 「うるさい！どうせ私が死んだって、悲しむ人なんてこの世にいないわ！」 「そんなことないわ

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      短編小説「蝉」

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