老害と今どきの若者
私が若い頃「近ごろの若い者は」と言うお年寄りがいました。テレビのインタビューでも良く言っていた気がします。
学生の頃、テレビで政治家へのインタビュー番組を見ていて「今の若い人へ、ひと言」と言う質問。他の人は苦言を呈していたのに、ひとりだけ「私が若い頃から言われてるね。若い人にしか無い良さもある」と言った方がいました。素敵だな、と思いました。
気がつけば自分が「今どきの若者は」と言う年齢になりました。
言っている?
私は言わないし、周囲の同世代も言っていないような気がします。
「今どきだね〜」とは言う。
例えば子どもたちがプログラミングをしたり、学校でダンスの授業があったり、時代が変わったな、と感じた時に言うので否定的な感じではありません。
私たちは斜に構えて、熱くならないのが格好いいと思う世代だったので、今の若者が熱心にオシャレをしたり推し活に燃えたりするのは、人生の楽しみ方を知っていて善き善き、と思っています。
な~んてぬるい考えでいたら、あーた!
今どきの若者が酷いこと言い出しちゃって!
「老害」
なんですとー!キーッ!
わかりますよ、職場なんかでオジィオバァがカビの生えたような常識振り回して、偉そうにしていたら目障りなんでしょう。
でも、「老害」ってあんまりだ。
最近は年寄り全般を老害扱いする場合もあるし。ブー!
甘やかしすぎたか?
もっとちゃんと、いじわる婆さんの役割をして「今どきの若者」を躾ければ良かったのか?
なんて、怒りまくっていたのですが、クールダウンして見ると(言う人が言っている)のです。
逆説的な悪口になるかも知れないけど、爺婆が何を言っても自分の仕事を進められる人、自分の考えを自分の言葉で伝えられる人、周りが見えている人はあまり「老害」なんて使わないような気がします。
じゃあ、私たちを「今どきの若者は」って言っていた人たちも?となりますが、それはまたちょっと違う。
私が若者だった頃にお年寄りだったという事は、戦争を経験した方々です。
そんな世代から見たらどうしたって、もどかしい気持ちになるのは仕方ないですよね。
戦前の人たちからすると、何にも考えていない常識が無い若者に映っていたのでしょう。言いたい気持ちもわかります。これも自分が年齢を重ねて気付いた事ですが。
そんな背景も無く「老害」なんて下品な言葉を使う人が歳をとったら「今どきの若いモンは」なんて言うんだろうな。世代じゃなくて、パーソナルの問題。
ところで(傷つく人がいる言葉は使わないようにしよう)と、言葉狩りのような現代で何で「老害」がまかり通ったんでしょう。
初めは怒っていた私も今この言葉に接すると、哀しいような、情けないような、寂しいような、いやーな気持ちになります。これ、人を傷つける言葉じゃないのかなぁ?
自分を熱くならない斜に構えた世代と書きましたが(シラケ世代)と呼ばれていました。そういえば、シラケるという言葉はあまり使われなくなりましたね。
言葉は生き物。「老害」も早く使われなくなれば良いな。