毎晩『良い母親とは？』と検索していたあの頃の私 #7

里帰り出産をすることになっていた病院は、母乳育児を推奨する病院だった。

実家から近く、設備のキレイな病院だったので、そこで出産することに決めた。
そもそも産婦人科がいくつもある訳ではないので、選択肢はほぼなかった。

私自身が絶対に母乳育児をしたい！と思っていた訳ではなかったが、初めての出産だから何も分からず、産婦人科の先生が母乳育児が良いと言ってるのなら、そうなのだろうと思った。

出産が差し迫り里帰りをして、通院が始まると、待合室には母乳育児の本がずらりと並んでいた。

そして看護師に寄せ書きのようなものに目を通すよう言われ、読んでみると、この病院で出産したママ達が母乳育児の素晴らしさを綴ったものだった。

前の病院で毎回見ていたポスターと同じように、通院の度に、寄せ書きや本を読むよう勧められ、先生からも看護師からも母乳育児の話ばかりされたので、またも私は『赤ちゃんは母乳で育てなきゃいけないんだ。それが出来るのが良いお母さんなんだ。』と思うようになった。

今思うと、別に退院後にミルクをあげようが、母乳をあげようが私の勝手だし、病院には何の関係もない。
この人たちの言う事を聞かなければいけない義理もない。

だけど、初めてのことだらけ、不安だらけの妊娠、出産において、当時彼らの言うことは絶対のように思えてしまったのだった。