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『プア充 島田裕巳』


それなりにお給料をもらっているのに、いつも金欠。

独身会社員時代、私がいつも思っていたことだ。
そこそこの金額をもらってる上に、独身、実家暮らし。
貯金できそうな要素が揃っているのに、いつも月末になるとギリギリ。

なぜ、お金がないのか自分でも分からないから、不思議だった。

学生時代のバイト代の3倍程度、お金を毎月もらっている一方で、学生の時のように遊び周る時間はない。
ブランドバックを買っている訳でもないし、海外旅行も、もっぱらアジアなどの近場だし、洋服やコスメもプチプラで節約してるのに...

『収入が増えると、支出も収入と同額程度に膨らむ』
というパーキンソンの法則。

『渇愛』
禅語で、人間の欲望は、まるで喉が渇いている時に塩水を飲んでいるかのごとく、尽きる事がない。

まさに、このような状態だったのだと今なら分かる。

思えば当時の私は、お給料やボーナスをもらったら「なんでもいいから、何か買いたい!」と思っていた。
借金やギャンブルをしていた訳ではないので、自分の感覚がまずいことに気がついていなかった。

ストレスがたまっていたのだと思う。

そしていつも『何か』を探して、ルミネや伊勢丹をウロウロ...
マッサージ、スパ、ネイルサロン、タクシーもガンガン使っていた。

私は「ブランドバックを買うお金はないけど、1回1万円程度のマッサージや、ネイルサロンに、ちょくちょく行ける位のお金はある」と思っていたのだと思う。

マッサージとネイルサロンに行くのを30回我慢すれば、ブランドバックも買えるという事には気が付かなかった。

ただし、ブランドバックが本当に欲しかったのかと聞かれれば、それも疑問だ。
だからと言って、マッサージにそんなにも行きたかったのかと言えばそれも分からない。
間違いなく今の私よりは、肩凝りも腰痛もなかったはずである。

つまり自分は何が欲しいのか、よく考えもせずに「これ位なら使える!」と思った金額に、収まるものや、ことに上限までお金を、使っていたのだ。

「みんな、これ位持ってる」「みんながやってる」という根拠のない当たり前に流されて、お金と時間を使っていた。

今の自分はどうだろう?
何にどれ位お金を使いたいのか、じっくり考えてみた。

無駄な支出を抑えて、あと少し収入を増やせば、やりたいことは全て実現出来るのではないか?という気がする。

『お金はあればあるほど良い』という価値観も、当たり前のように自分の中に刷り込まれていたようだ。

たくさん、なくても良い。
自分が本当に実現したい事を叶えられるだけの収入があればいいんだ。そう思うと、仕事の仕方も変わってくるだろう。

本書のプア充という概念は、いつも心に留めておきたい。

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