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身体拘束について

□身体拘束の研修を行う目的
●身体拘束は、高齢者虐待である事を知る事
 →身体拘束の考え方や基礎知識を学び、身体拘束ゼロに向けた取り組みを行う。
●共感する事、予測する事の大切さを学ぶ事
 →拘束が生む弊害や入居者・御家族に寄り添う気持ちを学ぶ
●自身のケアや施設のケアの在り方を見直す機会
 →自らのケアを振り返り、事故点検すると共に施設のケアが共通の理念や指針に従って運営出来ているかを見直す事

□身体拘束がもたらす影響
人権擁護の観点から問題があるだけでなく、高齢者のQOLを根本から損なう危険を有しています。身体拘束によって高齢者の身体機能は低下し、寝たきりになる恐れがあります。さらに、人間としての尊厳も侵され、時に死期を早めるケースを生じる事があります。

□介護保険制度で禁止されている身体拘束の具体例
①徘徊防止の為ベッドや車椅子に胴や手足を縛る
②転倒転落防止の為、ベッドや車椅子に胴や手足を縛る
③自分で降りられないように、ベッド柵を2本使用したり、高い柵を使用する。または、ベッド柵を4本付けて囲む
④点滴、中心静脈栄養、経管栄養等のチューブを抜かないように手足を縛る
⑤点滴、中心静脈栄養、経管栄養等のチューブを抜かないように、または皮膚をむしらないようにミトン型手袋を使う(手足の自由を奪う道具や工夫をする)
⑥車椅子からずり落ちたり、立ち上がらない様に腰ベルト、Y字抑制帯、テーブルに付ける。
⑦立ち上がる能力がある人に、立ち上がりを防げるような椅子を使用する(柔らかいソファー等)
⑧脱衣、オムツ外しを防ぐために、介護衣を付ける(つなぎ服)
⑨他人への迷惑行為を防ぐために、ベッドなどに胴や手足を縛る
⑩行動を落ち着かせるために、精神作用を減衰させる薬を過剰に使う
⑪自分の意志で開けられない部屋に隔離する(鍵のかかる部屋に閉じ込める)

□身体拘束が問題である理由
身体拘束には3つの弊害があると言われています。
1.身体的弊害
・関節拘縮、筋力低下、褥瘡の発生
・食欲低下、心肺機能や感染症への抵抗力低下
・転倒事故を誘発し、抑制具による窒息死を招く恐れ
2.精神的弊害
・不安や怒り、屈辱、諦め等精神的苦痛を与える
・認知症が進行し、せん妄を誘発させる
3.社会的弊害
・介護保険制度への信頼失墜
・身体拘束による医療的処置は、経済損失を発生させる
・老年期への不安増大

□拘束が拘束を生む「悪循環」
①認知症症状があり、体力的に弱っている高齢者を拘束すれば、ますます体力は衰え、認知症が進む
②せん妄や転倒等二次的、三次的な弊害を生じ、その対応の為にさらに拘束を必要とする状況が生み出される
③身体機能の低下、高齢者の死期を早める結果となる

□緊急やむを得ない場合の対応
●切迫性・・・入居者本人又は、他入居者等の生命または身体が危険にさらされる可能性が著しく高い事
●非代替性・・身体拘束その他の行動制限を行う以外に代替えする介護方法がない事
●一時性・・・身体拘束その他行動制限が一時的なものである事

「緊急やむを得ない場合を除いて、身体拘束は原則全て高齢者虐待に当たる。」

□まとめ
身体拘束は、原則高齢者虐待となります。リスク管理や職員の業務を優先するあまり、安易に身体拘束に繋がる行為や不適切なケアが常態化していないか、チェックしていく事が大切です。

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