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短編小説 小噺のようなもの

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#書き初め

甥の書き初め  【短編小説】

甥の書き初め  【短編小説】

元旦の朝、というより昼。
実家の一室で目を覚ました俺は、布団の脇に気配を感じて起きた。
高校生の晶がちゃぶ台に向かって筆を動かしていた。
「書き初めか?」
煙草に火をつけながら覗き込む。
そこそこ達筆でこう書いてあった。

〈 油揚げ〉

………俺は黙って布団を畳んだ。
Z世代にしか通じない流行語かもしれない。
余計な質問をすると地雷を踏みそうだ。
たまにしか帰省しないが理解のある叔父としての立場

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