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取説とメンテナンスマニュアルなんて無い

ひとつの案件に数億円という売り上げが上がるような設備をその会社は取り扱っている。大きなお客様は十数億とかの商談がある。売る方も必死だが買う方のお客様はもっと必死の思いで商談にやって来る。

そんな中国のお客様なんだがどこも無理難題を強いて来る。散々本体価格で折り合った後でもオプションの専用工具を付けろとか、消耗部品は一年は無償にしろとか、弊社据付スーパーバイザーは規定日数終わっても無償で貼り付けておけとか。最後の最後までしゃぶり尽くす。

最後に、取扱説明書とメンテナンスマニュアルはあと3部追加でよこせと。うちの営業は承諾したようだ。

だが、このふたつのマニュアルは人手が無いために不完全でいい加減な内容になっている。基本仕様はまあまあの出来なのだが、特殊仕様と新機構は間に合ってない。メンテナンスマニュアルも詳しく書いてない。

設備の制御盤をカバーする板状の透明樹脂なのだが設備清掃スタッフが毎日きれいに掃除をする。しかし、ある時からその制御盤窓の樹脂が白く曇ってしまった。その会社にクレームが来る。窓が曇って見えないぞと。どうしてくれるのか?激怒してはると。

マニュアルには掃除はちゃんとしなさいとだけある。お客様はアルコールできれいに拭いていると。おかしい。たちまち白濁してきて中の表示が見えなくなった。

掃除に使う洗浄剤は何を使っていますか?
→アルコールを使っていました。
→アルコールはダメです。
→何でだ?マニュアルに書いてないぞ

出来上がった機械の取扱説明書は設計者が書くべきなのだがそれすらできていない。機械は売れて同様のクレームは数件出てきた。全部代品を出荷して大損害。学習機能のない企業だった。

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