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ENDER LILIESというゲームが最高だったので全人類やってくれという叫び


※ネタバレ無しで語ります。(本編内容に触れているとしたら、それは公式説明文や最序盤ですぐ分かる範囲の情報です)


ENDER LILIESってどんなゲーム?

公式紹介文

筆者はPCでプレイしたのでSteam版の紹介文を引用させてもらう。

退廃的な雰囲気に鮮やかな紅が映える画面構成だ

<物語>
昔々、彼方の「果ての国」にて。突如降り始めた「死の雨」は、
生きとし生けるものを狂暴な生きる屍へと変貌させた。
人智を超えた悲劇に成す術もなく、王国は滅びた。
呪いであるかのように、止まない雨。
滅び果てた世界の、ある教会の奥深くで
少女「リリィ」は目覚める。

Steam:ENDER LILIES: Quietus of the Knights (steampowered.com)
かつて鮮やかな色彩を誇ったこの風景も……
「リリィ」が目覚めた時にはこのように荒れ果ててしまっている

<体験>
『ENDER LILIES』は「死の雨」により滅びた王国の謎を解き明かす、ダークファンタジーの2DアクションRPGです。舞台となる「果ての国」は、荘厳な王城、水没した深森、地下の禁じられた汚染領域など、悲劇的で美しい世界が広がっています。
悲哀に満ちた旅の先々では、恐るべき強敵が待ち受けています。 戦いに勝利し不死の呪縛から解放する事で、彼らはリリィの助けとなってくれます。 苦難を乗り越え、騎士達と共に物語の真相へ辿り着いてください。

Steam:ENDER LILIES: Quietus of the Knights (steampowered.com)

黒、赤、白の三色が鮮やかなスクリーンショットと上記の説明文から、概ね雰囲気は伝わったことと思う。

荒廃・謎・悲哀がテーマの暗い世界観を真っ白な少女が旅する物語だ。


ソフトの公式サイトはこちら↓
Steam以外にPlayStation、NintendoSwichでも遊ぶことができるぞ!


メトロイドヴァニア×ソウルライクの2D探索アクション!

ゲーム界に少しでも詳しい人ならこの見出しだけでどんなタイプのゲームなのかが分かると思う。
いずれもとあるゲームのタイトルを元にした派生語で、そのゲームの確立したシステムが革命的だったためにジャンルとして呼び名が定着したもの。

メトロイドヴァニアは任天堂のメトロイドシリーズ(PRIMEシリーズは除く)とコナミのキャッスルヴァニアの2つが派生元。
2Dで作られたエリア同士が複雑につながり合って形成された、広大なマップを探索し、ボス撃破など進度に応じて少しずつ付与される強化スキルを駆使して、最初は行けなかった封鎖エリアを開拓していく……というシステムを指すことが多い。

例えばとあるスキルを使うことで、二段ジャンプでも届かなかった屋根に上れる

ソウルライクはフロムソフトウェアのダークソウルシリーズが派生元。
フィールドエネミーやボスの攻撃がとにかく痛くて、うっかりすると雑魚敵相手にさえやられてしまうハードなアクション性と、何度も負けながらパターンを覚えることにより実力で勝利をもぎ取った瞬間の快感が魅力のシステムだ。

これらを併せ持つENDER LILIESは広大な2Dマップ内を探索しながら、要所要所で待ち構えるボスキャラや道中の雑魚ラッシュにあっさり敗北しつつ、それを乗り越えて得た強化能力で更なる探索エリアを開拓し物語を解き明かす……というゲーム構成となっている。




何がそんなに良かったん?

ENDER LILIESがどんなゲームなのかざっくり説明したところで、ここからは筆者が何に良さを感じたのかをお伝えしたい。

なお冒頭にも書いたが本編ネタバレはしない範囲で書くので、これからやってみようかな?という諸兄姉も安心して読み進めて欲しい


没入感を高めるサウンド


まずはなんと言ってもサウンドの良さ!

しとしと降り続く死の雨を彷彿とさせる寂しげな曲から、なんだかステップを刻みたくなるようなテンポの曲まで、ピアノメインで演奏されるBGMはエリアごとの雰囲気をいっそう際立たせてくれる。

凄いのは同じBGMでも、操作キャラの白い少女がマップ中の「どこにいるか」「どんな状態か」に応じて聞こえ方やアレンジを与えているところ。

例えば水中に潜ったときは水越しに聴いた時のあのくぐもった聞こえ方になるし、雨降るステージで野晒しになるとちゃんと雨音がBGMに追加される
ボス戦においても、相手のHPが減って攻撃パターンが苛烈になるにつれて曲調が強く、激しくアレンジされることで緊迫感とクライマックス感がどんどんエスカレートして本当に手汗をすごくかいてしまった。

エフェクトが細くて見え辛いが、一歩左へ出れば雨に打たれる効果音がBGMに挿入される

そして特筆すべき要素として、キャラクターボイスが一切存在しないことも忘れてはならない。
白い少女はもちろん敵キャラに至るまで、人語を発する音声はひとつも流れない。

これにより、雰囲気バッチリのBGMが流れる中、ただただアクション由来の効果音だけが響き渡るという、ある意味で無機質にさえ聞こえるサウンドが醸成されるのだが、しかし逆にコレが聴覚に「リアル」を感じさせ、圧倒的な没入感につながっていたと思う。


この良さを本当に感じてもらうには実際に操作してもらわないといけないのがとても惜しい。
本当にやってもらいたい。
PSstoreならセールで1500円で買えるよ!(23年4月時点)


強くなる=悲しいという仕組み


公式の紹介文にもある通り、ENDER LILIESの世界は「死の雨」によって滅んでいる。

死の雨により生物はみな汚染され、肉体だけが不死となって彷徨い続けた果てに精神崩壊し、ただ目前の動く物を襲うだけの亡者=穢者けものと化してしまっている。

精神が強靭な人間の中には、汚染されても意識だけ保たれる者もいるがそれはむしろ酷な話で、身体は汚染のせいで手当たり次第に破壊を撒き散らす上に汚染の苦痛だけはいつまでも感じ続けてしまう
ゆえに強靭な精神の持ち主でさえ、苦痛の末に狂気に堕ちてしまっているのがゲーム開始時点の世界だ。

その汚染=穢れを浄化できる稀有な体質を持つのが操作キャラたる白い少女。

狂気に堕ちた強敵を鎮め、「浄化」のコマンドを実行することで相手は穢れと不死の呪いから解放され、以降は少女に力を貸してくれる。
つまり強敵を浄化していくことで操作キャラは強化され、より戦いやすく、探索範囲も広がっていくのだが……。

浄化を必要としている強敵たちはいずれも、「かつては汚染に抗い最後まで正気を保ち続けたが、遂に耐えきれず狂気に堕ちた」者
皆それぞれに守りたいもの、成し遂げたいこと、果たしたい約束があって抗い続けた成れの果て。

浄化の瞬間、少女は彼らの過去を垣間見る。

ついさっきまで殺し合いをしていた相手が、どんな想いで抗っていたのかを、倒した後に見せられるのだ。
激しい闘いを制した興奮と、シームレスに知らされる悲しい過去で、もう筆者の情緒はバラバラだ。

勝利と強化という本来喜ぶべき報酬が、こんなにも悲しいメトロイドヴァニアを筆者は他に知らない。

「っっしゃ勝った!」からの「ウッ……そんな……」の感情ジェットコースターを是非体感して欲しい。


えっ!?そんな素敵作品がSwichでもたったの2700円で遊べちゃうのかい!?


ナビゲータ兼相棒との距離感


ゲームプレイ中、白い少女は一切セリフが無い。
新たに分け入るエリアの説明やサポートのセリフは全て「黒衣の騎士」という相棒が文字で伝えてくれるのだが、彼の距離感がなんともいえず良いのだ。

基本的に言葉は最小限。
結論を濁す言い方が多い。
割り切ったシビアな考え方。

言葉の数が少ない!もうちょっと説明してくれませんか!?

こんな感じでだいたいは事務的というか、ぶっきらぼうな印象のセリフ回しの黒衣の騎士さんだが、彼が時々見せる少女への優しさがたまらなく好き。

こ、黒衣の騎士さん!??!?(乱れる情緒)

なんというか……後方腕組み父親風?
途中からは愛情表現の苦手なパパというイメージを勝手に持って見てました、すいません!!

でもこの愛情表現下手くそパパ(父親じゃない)が、滅んだ世界で唯一、少女と会話できる相手なんだよなぁ……
物語の核心に迫ると、黒衣の騎士がどんな生い立ち、どんな理由で少女に寄り添っているのかが分かってきてとっっってもエモ。


君も、不器用成人男性と無垢少女の関係に狂いたいだろう?
それなら簡単だ、ENDER LILIESをPCにインストールするだけで良い


断片的なストーリー


「物語の核心」という表現を使ったが、このゲームは明確な1本道のストーリーラインになっているわけではない。

一応、エリアの攻略順という意味では大まかな順序が存在するが、「世界は滅んで誰もいない」「浄化によって過去を垣間見る」という構造上、得られる情報は断片的&時系列はバラバラとなっている。

またナビゲータの黒衣の騎士さんも、ゲーム開始時点で肉体を失った魂での登場なので「どうして今の状態になったか」までは知らない。
新しいエリアに入ったときの説明も、「こかはかつて〇〇だった」というような、あくまで騎士さんの知っている過去ベースになる。

なのでプレイヤーは、探索の過程で手に入る書置きや手紙、手記などに記載された断片的な情報を元にどんな思惑と出来事があったのかを類推するしかない

マップに点在するテキスト。後からまとめて読み返せば、この世界への理解が更に深まるだろう。

過去の明確な答えはどこにも無く「きっとこうだったんだろうな」という、あくまでプレイヤーの想像に委ねるストーリー構造は映画やアニメでは難しく、プレイヤー自身が操作するゲームならではの仕組みだなと舌を巻いた。

100%クリアを果たした今も、筆者はENDER LILIES世界の過去について思いを馳せている。


クリア後もその世界について考えたくなるゲームって最高だよね!
ところでPSStoreにもENDER LILIESっていうゲームがあるんだけど……


絶妙な難易度設定


ソウルライクと聞いて身構える人も多いと思う。筆者もダークソウルは友達の家でやらせてもらっただけで「こんなん無理やん!」と諦めてしまったし、結局ダクソシリーズは買わずに終わっているクチだからその気持ちは良く分かる。

だが安心してほしい。
そんな筆者でもこのENDER LILIESは100%コンプクリアできたから!!

  • ボスキャラの攻撃パターンはそこまで多くない

  • 全ての攻撃が単一の回避コマンドで対処できるよう設計されている

  • そもそも2Dなので敵も自分も「取れる選択肢が限られて」いるお陰で操作に迷わない

  • ソウルシリーズありがちな「雑魚キャラが固い」現象は感じなかった

理由としては、こんなところだろうか。

あと、ソウルライクの難しさポイントとして「回復手段は回数制限式」で、「休憩ポイントで休まないと回数は元に戻らない」「死ぬと直前の休憩ポイントまで戻される」、かつ「休憩すると敵が全て復活する」の側面は見過ごせない。

頑張って探索を進めた先で死んでしまうと、同じ道程をまた歩まないといけないシステムがユーザーの心理的ハードルを上げているのは事実だろう。

その意味では、ENDER LILIESは調整が巧い。
「回復もあと一回しかない、そろそろ次の休憩ポイント見つからないかな……」と感じた頃にちょうど新しい休憩ポイントに辿り着く場面が多かった。
死ぬと戻されるストレスと、休憩ポイントを見つけたときのリラックスのバランスが良かったと感じている。


ソウルライクが苦手?大丈夫!ダクソを30分で投げ出した奴でもクリアできたから!!


アクション初心者に優しいシステム


前段でも書いたが、全ての攻撃が回避コマンド一つで対処できるようになっているのは大きいと思う。

回避行動中は敵をすり抜けることができるので、こうして背後も取れる

3Dアクションだと回避ひとつ取っても「バックステップ、ジャンプ、側面飛び込み」と方向にバリエーションがあったり、そもそも回避じゃなく「ガード」「パリィ」でしか対処できない攻撃なんてのもあったりするので瞬間の判断が求められて難しい。。。ということがよくあるからね。
SEKIRO、お前のことだぞ!!(なお筆者はソウルライクの中でもSEKIROだけはクリアしたことがあります)

一応ENDER LILIESでも途中からパリィできるようになるが、別に使えなくても問題ないし何なら筆者はパリィ使わずにクリアしてる。

他にも、死んでも全くペナルティが無いというのも有難い。

普通のソウルライクなら、死んだ場合道中得た経験値などを半減か全損したり、死を繰り返すと何かしらデメリットが生じる設計になっていることが多いところ、本作はそういったデスペナルティが一切無いので、安心してボス戦に何度も挑むことができる。

またボス戦エリアの近くに休憩ポイントがあるのも良かった。

ボス戦までの道中が長いとそれだけで再戦が苦痛だし、なにより余計な被弾を受けるリスクも増えるので、これは地味ながら大変助かったように思う。


死は恐れるのが本能だ。
でもこのゲームにおいて、死は恐怖の対象にはならない。


とにかくプレイして欲しい!

……とまあ色々と良さを書き連ねたわけだが、

ここまで読んでくれた人はきっとENDER LILIESの中身が気になって仕方ないはず!!
冒頭にしか載せてなかったと思うから、ここにもう一回公式サイトのリンク貼っておくね。

2700円で20時間近く没頭できるよ!
最高なサントラも売ってるよ!

……え?もう外部リンクは見飽きた?
変だな……冒頭とここの2ヵ所でしかダイレクトマーケティングしてないと思うんだけど……。
もしかしたら息を吸うように宣伝してしまっていたのかもしれないね!


とにかく買って、遊んでみて欲しい!!


これに尽きる!
最近は娯楽がインフレしてて、ゲームや映画のストーリーを10分ちょっとにまとめて解説するYoutube動画が流行るくらい、現代人の可処分時間が少なくなっているのは分かってる。

でもゲームってやっぱり、自分で操作して、その世界の出来事を疑似体験するからこそ得られる感動とか感情の揺さぶりがあるわけで。

こればっかりは解説動画でも得られない栄養素だから。


頼む!ENDER LILIESというゲームが最高だったので全人類やってくれ!!


この言葉で記事を締めさせていただきます。


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