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【 レビュー 】 E.H.ノーマン著 『クリオの顔』

【 本書は、歴史に関する教養的な事柄を解説することに終始した本ではまったくなく、それが気に入っている。
歴史家にして、典雅なバロック音楽を愛したという、教養人ノーマンの歴史エッセイである。エッセイだからか、気楽に読めた(岩波文庫版の文体に慣れるまでは少々時間がかかったけれど)
書店を散策しているときに、「クリオの顔」という印象的な題が目につき、歴史の女神クリオに捧げられた随想集(エッセイ)だとわかった途端に、興味が湧いた。
女神クリオに捧げられたと知った時点で、私はもう目が離せなかった。
「歴史の宇宙」歴史観や歴史像という意味とは違う。私が思いついた言葉である。本書に浸ると、歴史の宇宙を感じることができた。歴史に想いを巡らせる者が、歴史の深遠さや歴史の本質、歴史への愛、歴史の新たなクオリアを見つけたときに感じる発見の悦びとでも言おうか。(コスモスや歴史的知性という言葉とも連想する。
真正の歴史家は、史上、決して多くはないと、ノーマンはいう。気まぐれで気難しい女神クリオに捧げられた本書は、そうした難解なハードルを微塵も感じさせずに、歴史への好奇心と愛を養ってくれる。】

(参照記事)



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