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年収700万の公務員から無職になる理由〜叶えた夢を捨ててまで、叶えたい夢〜最終章 前編

これは、8年間消防士として働いてきた私が、なぜ小学生の時からずっと憧れてきた消防士を辞めて、年収700万の安定した生活を捨ててまで無職になるのかについてのお話。

前回までのあらすじ。


私は小学校3年生の時(2001年)にアメリカ合衆国で発生した9.11テロ事件がきっかけで消防士を目指すようになる。

大学受験のセンター試験で大失敗。人生初めての挫折を経験。通学中の読書がきっかけで世界一周に興味を持つ。

公務員試験の1回目は不合格。自分を見失いそうになりながらも、必死の努力でなんとか2回目で合格を勝ち取り、「消防士になるという夢」を叶える。

そして様々な不安や恐怖を乗り越え、念願の世界一周へ。今まで私が作り上げた狭くて小さい人生観をぶっ壊され、自分の中で大きな変化が訪れる。

その後、消防士として社会人生活をスタート。しかしまた苦難と挫折の日々。そんな私にもついに希望の光が、、、

そんな波瀾万丈な世界一周の様子はこちらから ↓↓


ここからはその続きのお話。


消防士の先の夢


「心機一転、頑張るぞー!」と社会人生活を歩み出した私でしたが、待っていたのはめちゃくちゃ上司に怒られまくり、何も出来なくて、無力さを痛感していた私でした。描く理想と現実とのギャップ。社会のリアルを経験しました。

「社会人」を上手に生きていくために、他人の期待に応え、他人に合わせ「いい人」のふりをし続けていました。自分じゃない何かに自分自身が乗っ取られているような感覚でした。

そんな私でしたが、次第に社会人としての立ち回りを覚えて、毎日怒られないようにすることで手一杯だった状況から、徐々に出来る事も増え、少しづつ余裕ができるようになりました。

そして余裕ができたおかげで消防士になってからの目標が徐々に浮かび上がってきました。

それは「2020年の東京オリンピックで英語対応救急隊として活躍する」というものです。この英語対応救急隊というのは簡単にいうと「英語を話すことができる救急隊員」です。

オリンピックはたくさんの外国人が来日しますよね。そこでもし病気や事故があった際に英語でコミュニケーションを取れる人がいないと状況が掴めない。その問題を解消しながら、救急活動をする人たちのことです。

実は、この目標は、就職活動中にもがき苦しんでいた2回目の公務員試験の小論文で、私が目指す理想像として既に書いていたんです。「私は英語対応救急隊になって2020年東京オリンピックで活躍する」と。

英語対応救急隊を目指そうと思った理由は2つあります。

1つ目は、日本人だけではなく、世界中の人々を助けることができると思ったから。英語を話せるだけで、助けることができる対象がグンと広がる。そうすれば1人でも多くの人の役に立てるのではないか。そう思ったからです。

2つ目は、世界を旅した中で、世界がいつも私に優しくしてくれように、私も世界に対して優しくありたい。世界でもらった親切の恩返しがしたい。そう思ったからです。

いつでもいらっしゃい。困難と壁。


となるとその目標を叶えるためにやらないといけないことが2つあります。
1つ目は「救急隊員」になるための資格をまず取ること。救急車に乗るためには合格率20%の選抜試験を合格しなければなりませんでした。

17倍近くの採用試験に合格してきた人達の中での合格率20%って、なんか受ける前から気が滅入る感じがしますよね。実際3回試験に落ちました。

困難と壁はいっつも私に引っ付いてきます。ストーカーです。何か新しいことをする度に現れてきます。私の人生で彼らが登場しないことはありません。

もはや1回や2回の挫折なんて、あってないのと同じように私は感じ始めていました。自分の中で少し、何かが変わっていました。

 「受かるやつは1回で受かるんだよ長谷川くん(私の苗字)」当時の上司は笑いながら言っていました。そんな言葉を周りから言われたりもしていました。

でも挑戦し続けなければ絶対に合格することはないことは、私自身が一番よく分かっています。人生でこんな失敗、何回見てきたことか笑。何度も挑戦して4回目でやっと合格しました。救急隊員になるまで2年くらいかかりました。

2つ目は英語の資格を取ること。救急隊になった上で、英語対応救急隊研修というものに行かなくてはなりません。その研修に行くのにもまた選考があり、限られた人数しかその研修にはいけないのです。涙

英語の資格を何かとってアピールポイントを作らないといけないと思った私は英検の資格を取ることを思いつきました。

当時の私の持っていた英検の資格は、中学3年生の時に取得した英検3級でした。世界を旅していた時に英語が話せなかった悔しさと、もっと外国人と話せるようになりたいっていう高いモチベーションもあったので、英検3級からいきなり英検準1級(英検の中で2番目に難易度が高い)を受験することにしました。

そして1回落ちて、2回目で合格しました。もはや呼吸のように1回落ちている笑

そしてようやく研修に行く権利を手にしました。しかも一番上位のクラスで研修を受けることができました。ラッキー!

やっと掴んだ英語対応救急隊の研修

そして偉い人に、直接交渉しに行って、特に際立った実績もないのに、正規メンバー待ちをしている他の先輩とかを差し置いて、英語対応救急隊に正規隊員として任命してもらえるように頭を下げて、お願いしに行きました。

図々しいことができたのも今思えば、凄いことだと思いますが、当時の私は、自分ならいけるとしか思っていませんでした。「挑戦は怖いもの」だという認識から「挑戦しないと前に進めない」、前に進んで失敗し、その先に夢や目標があるんだという認識に変わっていました。

そしてついに、2021年に東京オリンピックで英語対応救急隊として活躍することができました。

世界中からやってきた人たちの役に立つことができるんだ!ってオリンピック会場の中でオリンピックの携行証をぶら下げて歩いているときに初めて実感しました。

さらっと書きましたけど、消防士になってから約6年間かけて築き上げた夢でした。

2021年東京オリンピック会場にて(コロナで2021年に延期)

気がつけば失敗の繰り返し


とりあえずやってみて、ダメならそこから改善して次もう一回トライする。ダメならもう一回改善してトライして、ダメならもう一回改善して再度トライする。こうやって私は、自分の人生を作り上げてきました。

私のやることなすこと、最初は大体うまく行きません。私は凡人だし、特別な才能があるわけではないから。でも、だからこそ、努力を積み上げることができる。

一回で、綺麗にできる人じゃないから、何度も挑戦して失敗しないと欲しいものを手に入れることが出来ない。そう分かっているから、何度も諦めずに挑戦し続けることができる。

本気で挑戦すれば、成功しようと失敗しようと、絶対に『過去の私』を超えているはずです。そうして過去の私をどんどん超えていければ、いつの間にか目的地に着いている。

私は、凡人で、才能がないことを誇りに思っています。私の長所です。才能もないのに、すぐ諦めてしまったら一体どうやって私が欲しいものを掴めばいいのか、私には分かりません。

あきらめた時に人は本物の敗者になります。失敗しようが酷く打ち負かされようが、諦めなければ、負けていません

本当に強い人とは、決して失敗しない人ではなく、決してあきらめない人のことだと思っています。何があっても絶対に諦めないこと。それを私は人生を通じて学びました。

夢は逃げないのに、逃げるのはいつだって「自分」です

だから夢に正面から全力でぶつかること。そしてぶつかり続けること。そして倒れてもまた立ち上がること。そうすればいつだって、後悔しない人生が絶対に待っていると確信しています。

スティーブ・ジョブズがAppleから追放され、会社が赤字続きの時期が続いていた時、あきらめていたら今のiphoneやmacは存在していませんでした。

J・Kローリングが出版社に作品を持ち込んだ時、最初の10社であきらめていたらハリーポッターシリーズはこの世に生まれてきませんでした。

ウォルト・ディズニーがテーマパークへの出資を300社以上から断られた時、あきらめていたらディズニーランドはできていませんでした。

彼らは自分を信じ続けたから、自分の人生を、そして世界を変えることが出来たのだと思っています。

「GRIT」という私の最強武器


私は物事を「やり抜く」ことの重要さを人生を通じて学びました。大学受験の失敗から、公務員試験での挫折から、世界一周から、英語対応救急隊になるまでの困難から、、、全てやり抜いたから本当に手に入れたい「夢」を手に入れることができました。

「やり抜く」力のことを英語で『GRIT(グリット)』と言います。このグリットという概念は社会人になってからある書店で一冊の本を目にして購入したことから知った概念なのですが、私はこの資質を知らぬ間に人生を通じて学び、磨きを掛けていました。

このグリットという言葉はあまり馴染みがないかも知れませんが、Googleは人材採用基準として、「強いグリットを持っているか否か」という点を重要視するとコメントし、FacebookのCEOのマーク・ザッカーバーグ氏は、ビジネスにおける成功の鍵について「信念とグリットを持つこと」と語ってます。

バラク・オバマ元大統領はスピーチ内でグリットというフレーズを何度も使用してますし、イチローもインタビューの中で同様のことを言っています。

「才能やIQ(知能指数)や学歴ではなく、個人のやり抜く力(GRIT)こそが、社会的に成功を収める最も重要な要素である」

ペンシルバニア大学教授のアンジェラ・リー・ダックワース氏


今では私の最大の武器です。「才能がある」とか「天才」とかいう聞こえのいい言葉じゃなくて、もっと泥臭い感じがあって私にぴったり。一番好きな英単語です。笑 

私は「こうなりたい!」と思う理想に向けて無限に努力することが出来ます。エネルギーが尽きることがないからです。今の自分じゃなくて、未来に立っている自分が本当の自分だと思っているからです。

本当の夢って何?


私は自分自身を成功者と言いたい訳じゃありません。
でも少なからず、私は自分が心から望んだ夢を3つ叶えてきました。
「消防士になるという夢」、「世界一周をするという夢」、「東京オリンピックに英語対応救急隊として活躍するという夢」

どれも4年以上の年月を掛けました。消防士になりたいという夢は10年以上かけて叶えてきました。

私は、本当の夢に他者からの評価は一切関係ないと思っています。

自分の内側から出る「これやりたい!ワクワクする!」という目標に向かってずっと進み続けられるものが本当の夢だと思っています。その目的のためなら全てを掛けてでも挑戦したいと思うものなんじゃないかなって思います。

私は、うまくいかないことで落ち込むことはあっても挫折することはあり得ません。自分の夢を他人からの意見で諦めたり、世間体に流されたりする隙さえ与えたくありません。

だって夢は自分だけのものだから。
他人の意見や世間体なんかで諦められるというのなら、そんなものは本当の夢じゃないと思います。

雨垂れが石を穿つように、個人の力が例え小さかったとしても、夢に向かってアクションをし続ければ、未来は絶対に切り拓けると信じています。

『雨垂れ石を穿つ』(アマダレ イシヲウガツ)
意味:軒先からぽたぽた落ちる雨のしずくのような小さいしずくでも、長い間ずっと同じところに落ち続けると、硬い石に穴をあけてしまう。
つまり、どんなに小さな力でも、根気よく続けていれば、いつか大きな成果が得られるということ。

次の自分


私は10年以上かけてやっと手にした消防士という職を手放しました。
ここまで読んでくださった方は、私がどういった思いで消防士になったかご存知だと思います。私は消防士になりたくて消防士になりました。困った人を1人でも助けたかったから消防士になりました。
公務員になりたかったからとか、安定した収入があるからとかは一切関係ありません。

そんな私ですが、ある出来事がきっかけで、真剣に人生と向き合うことになり、消防士を辞めました。今まで生きてきた人生の中で一番辛い時期でした。でもその出来事がなかったら今の私はいないと思っています。
人生の転機でした。

次回 最終話「本当の夢」

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