せめて霖雨をと

緑がいっそう深くなって、とある季節はおいていかれる。葉っぱは沢山降り積もっていくけれど、その一枚に染まる必要もなくて。他者を介在させず、自身が充足するナニカはきっと君が知る色をしていない。朝焼けと霧。底と頂き。こんなにも深く息のできる世界は美しい。山々が青く、くっきりと空との境界線をひく。葉桜と烏。海とヤシの木。斜めに日の光を取り込む、わたしのためだけの部屋。くるりくるりと回る椅子。くるりくるりと風に吹かれて回った、たくさんの風車。くるりくるりと落ちてゆく、葉っぱは何を思うのだろうか。

ずっと待っている。だけど、ただ待つだけなのは苦手だ。静かに座って闘っている。ちぎっては投げ、ちぎっては投げ、どんなに苦しくてもしんどくても、投げ出さない覚悟と護る意志。修行。はい、次はこちらの敵さんで。確実に仕留めていく。たくさんの武器を並べながら、一つずつ丁寧に手入れができる日はくるのだろうか。錆びていくしかない武器を眺める。それでもきっと大丈夫。かの人は一度狂った歯車から、狂わず殺意を磨くということを教わっている。

さて、なにを待っていたのだろうか。

終戦?休戦?はたまた援軍?

いいえ、次降る雨はいつかと空を見上げるように、あふれる安心を待っています、わたしの王は。

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