quinque sensus-五感-

細い月

痛みの中で

白いアイス最中を齧る

酔うための酒とは別れたよ

結局酔えない

酔いたくなるほど現実を生きたけど

それはただの言い訳に成り下がる

もう煙草の受動喫煙にも

顔を顰めるようになって

私はあの銘柄が好きだったのだと思い出す

身体が壊れても愛してやると

そんな愛し方が今は出来ない

蛙と鷺が叫ぶ夜は

いつしか私の中で当たり前になった

纏わりつく生温い空気の波は

肌で捉えたらよいのだと思う

目に見えるものはきっと見過ぎでしまうから

そして甘さと冷たさの中で

夏が来たのを捉えてみる

ゆっくりと響く足音と

長く続く足跡は

1人の夜に鳴り響く

静かな夜に鳴り響く

そうして丁寧にカードを眺める

とても綺麗で会話も出来る

幼い頃は

物語の中によく逃げ込んだ

ある時を境に

その世界は失われたけど

五感を取り戻したひとつ前の夏

また物語を思い出す

そうして物語の中で生き続けてる

現実が物語になり

物語が現実に変わる

すべてがキラキラと輝き出し

わたしは私の全てを肯定する

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