「食堂み」の女たち17

「まあ立っているのもなんなんで、座ってください」光恵は奥のテーブルを勧め、二人は遠慮がちに座った。
「すみません。ご迷惑をおかけしたと思います」「いえ、迷惑だなんて。キョウちゃん…響子さんがいて助かっているんです。私のやんちゃな息子の面倒も見てくれるし、ここに住んでいる住人も響子さんを頼っているんです」「助かってる、頼ってるって…あの子、人様に役に立つことしてるんでしょうか」
これまでは人に迷惑ばかりかけて、謝ってきたのだと言う。
「はい、とっても助かっています…」光恵は、四カ月前にあった、美奈のあの一件を思い出した。(でもこのことは言えんな…)

「いっつもこれの繰り返し。中学から家出癖がついていて、私たちが探し回って、見つけて連れて帰ってもまた出て行って」母親はハンカチで目頭を押さえた。面倒な子ほど親は可愛いのだろう。その気持ちは光恵にはよく分かる。わが子、俊一はもちろんだが、響子も美奈も則子も心配ばかりかけるが、心から可愛い。


続きは明日


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